幻冬舎単行本<br> 厨房の哲学者

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幻冬舎単行本
厨房の哲学者

  • 著者名:脇屋友詞【著】
  • 価格 ¥1,567(本体¥1,425)
  • 幻冬舎(2023/12発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784344042100

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内容説明

重要なのは、何かを選ぶこと。
選ばなければ、人生は始まらない。
選ばざるを得なかった仕事に黙々と熱狂する。
運命に従え。道は開ける。

「友詞には食神がついている」。料理の道に進むことは、易者の父親が決めたことだった。中学の卒業式から三日後、中華料理店での修行の日々が始まる。
北海道での悪童時代、絶対的存在の父親、1日に何百枚も洗った中華鍋、初めて知った中国料理のメニューへのこだわり……。キャピトル東急ホテル「星ケ岡」等を経て、当時荒野のような土地だった立川に新しくオープンするホテルの料理長となるが、ここ立川での挑戦は無謀といわれていた。毎晩試行錯誤し、格闘する日々。やがて「立川に面白い中国料理店がある」という噂が立ち、脇屋の世界を大きく広げる。
その後、自身の店「トゥーランドット」を作り次々と出店、大成功を収める。そして今年の新たな挑戦――。
中国料理一筋、運命を受け入れ、もがき苦しみ、日本の中国料理界のトップに君臨するまでの50年の軌跡。

脇屋シェフの人生そのものでもある中国料理。自然の産物の食材と人間の格闘の歴史でもある中国料理は複雑で分厚く深遠だ。はたして中国料理とは何なのか? 本書は、その壮大な問いの答えでもある。
脇屋は中国料理人人生50年となる今年、さらなる進化を求めて銀座にビルを建て、Wakiya流・中国料理の集大成となる店をオープンさせる。約30年前と同じように、無謀だといわれたことに、夜も眠らないたゆまぬ努力で挑戦する。
運命を受け入れ、置かれた場所で咲け。夢は実現させた後に語るものだ。「これが自分の夢だったんだ」と。

先ずは目の前のことに必死になれ、ひたすら考え抜け! それこそが生きるということだ。心が奮い立つ圧倒的自伝。

最も大切な時、なぜ脇屋さんのところに行くのか、納得の書。
――栗山英樹(元WBC日本代表監督)


生きるとは、仕事とは、どういうことか。
ページをめくる度に、胸を打ち心が震える一冊。
(以下、本文より抜粋)

「この道より我を生かす道なし。
この道を歩く」
なぜかわからないけど、背筋がざわざわとした。
その言葉から目が離せなくなった。
何かとても大切なことが書かれている気がしたからだ。
心の中で、何度もその言葉を繰り返した。
僕がわからなかったのは、このことだったのだと思った。
何を選ぶかではない。
重要なのは、何かを選ぶことなのだ。
僕が苦しかったのは、何も選んでいなかったからだ。
――第2章「母と中華鍋」より


何にでもなれる未来なんて、ほんとうはどこにも存在しない。
何にでもなれるのは、何も選んでいないからだ。
どこかに辿り着くためには、道を選ばなきゃいけない。ひとつの道を選んで、その道を歩き続けなければいけない。
僕が恐れていたのは選ぶことだった。
何かを選ぶことは、それ以外のすべてを捨てることだから、選んでしまったら、そこで自分の未来の可能性は閉ざされてしまうと思い込んでいた。
それが間違いだった。
選ばなければ、人生は始まらない。
何ヶ月も中華鍋を洗い続けて、ようやくそのことに気がついた。
そして、僕は中国料理の道を選んだ。
――第3章「雨垂れ石を穿つ」


ずっと死力を尽くしてきた。
不平たらたらで、いつも目の片隅で辞めるチャンスを探していた十五の春でさえ。
迷ったり、悩んだり、信じられなくなったりすることはある。
けれど、目の前の鍋だけは必死で磨いた。
その先に、道が続いていた。
目の前の仕事が、自分の仕事だと思えるかどうか。
この道をずっと歩いてきて思うのは、結局のところそれだけだった。
何かをなせるか、なせないかの差は。
才能の差でも、運の差でもない。
かなえたい夢がなくても、焦ることはない。
今自分の目の前にあることに、とりあえず必死で取り組んでみることだ。
それが心底自分のなすべき仕事だとわかったとき、人生は必ず変わる。
僕はそれを知っている。
――第6章「デ・ニーロと窯」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アイシャ

26
以前Wakiya一笑美茶樓にランチを食べに行った時、脇屋さんがテラスの方で取材を受けていらした。終わるとテーブルをまわって丁寧に挨拶をされた。お料理もとてもおいしかった。本を読んでみると、お父様が易者さんだったとか、そのお父様の命令で中卒で『山王飯店』に勤め始めたなど、けっこう驚かされた。来る日も来る日もお鍋を洗う日々を乗り越えて、世界から認められる中華料理人になられた。ただただ圧倒される内容だった。また是非おいしい中華を食べに行きたい。2024/03/22

えりまき

15
2024(110)よい!脇屋さんの半生。前向きになれる本。「友詞には触診がついている。だから食の道にすすめ」と決めた易者の父親。「三年はしっかりやってみなさい。」と応援した母親。「寝る時間を削ってでも上手くなろうとした。楽をしようと思ったことは一度もない。」「目の前の仕事が、自分の仕事だと思えるかどうか。この道をずっと歩いてきて思うのは、結局のところそれだけだった。」 2024/04/23

カタコッタ

14
私、こういう方が大好きなんです。15歳から料理修行をされ努力とセンスから大人気シェフになられた脇屋友詞氏の半生記。テレビに出られる料理の先生は皆好きですが、脇屋友詞先生は大別格。話し方、食材の扱い方に愛があります。客席8席に厨房には脇屋友詞シェフのみの窯を使った新しい中華料理、職人気質というのはチャレンジを惜しまないのです。いつか食べに行きます脇屋シェフ。そして美味しさに悶絶したい!2024/03/30

ユーユーテイン

10
読み終わって感じるのは、著者の自由な精神だ。自由な精神があれば、どんな分野の仕事も自分を生かす道になるのだと感銘を受けた。テレビで見る華やかなシェフの顔しか知らなかったが、その半生は泥臭く、野生的で、だからこそ斬新で力強い発想が湧いてくるのだろうと感じた。中学を卒業してすぐ、父親の命令で知人もいない中国料理の道に放り込まれる。そこから一つひとつのことを自分で考え抜き、乗り越えて現在に至る。著者の歴史は、日本の中国料理の発展の歴史と重なり、興味深いエピソードが多く語られている。コロナ禍のご苦労にも共感した。2024/05/03

coldsurgeon

10
中華料理職人脇屋さんの半生を記した自叙伝。中国料理の歴史は、自然の産物である食材と人間の格闘の歴史。いかにおいしく食べるかに、時として命さえかけるのが中国の人々だという。料理はおいしいだけがすべてではない、命をつなぐために食はあるという医食同源。成功することだけやるのでは、人生は面白くならないと教えられた著者。目の前の仕事が、自分の仕事だと思えるかどうか、そえrが心底自分のなすべき仕事だとわかった時、人生は必ず変わる、と訴える。美味しい中華料理を口にしたくなる。2023/12/14

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