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内容説明
日本の世界自然遺産の登録すべてに関わった第一人者が、世界遺産の矛盾をするどく切る!
日本における世界自然遺産の過去・現在・未来を問い直す。
1993年に日本で最初の世界自然遺産が登録されて25周年。
日本の世界自然遺産登録の経緯や登録後の「ブーム」が沈静化して、地域には何が残ったのか?
日本にとって最後の自然遺産となる可能性が高い「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は申請延期となったのはなぜか?
「人と自然の相互関係を守る」はずだったユネスコ世界遺産条約。
ユネスコがその理念を離れ、「自然遺産」と「文化遺産」の分断が進んだことで招いた弊害とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(k・o・n)b
5
主に自然遺産と文化の関係性にフォーカスした概説書。第7章に出てくる自然遺産に登録されることの弊害と廃仏毀釈のアナロジーが秀逸だと思った。「本来、自然と文化を一体のものとして保存する条約であった世界遺産条約が、世界遺産リストに登録するためのクライテリアを作った途端にそれに縛られて、自然と文化を切り離しているのは、これ(廃仏毀釈)に少し似てやしないか」2022/07/01
Kentaro
5
ダイジェスト版からの要約 青森県と秋田県の県境に広がる白神山地に、道路で分断されていないブナ林として、日本最大のブナ林が広がっている事が分かったのは、皮肉にも青森県西目屋村と秋田県八峰町を結ぶ全長30キロメートルの青秋林道が計画されたためである。日本政府が、1972年の採択から20年も経って1992年に世界遺産条約を批准した。自然保護運動の成果として守られた白神山地のブナ林を将来に渡って保護するには、国際的な保護地域制度で守る必要があるので、世界遺産条約に加盟し、白神山地を世界自然遺産の第1号にと考えた。2018/09/25
takao
2
ふむ2022/11/11
kayaki
1
本書は中村俊介著『世界遺産』(岩波新書)と併せて読むのがおススメ。この本は世界文化遺産を主に論じており、不足する世界自然遺産の情報は、本書を読むことで補完し合える。自然遺産を論じる本書が一番危惧するのは、「自然遺産」と「文化遺産」の専門家が分かれていることから、世界「複合遺産」への登録が進まなかったり、片方の価値ばかりが重視されてしまう世の中の傾向だ。「富士山」は文化遺産として登録されたが、自然遺産の価値は無いのか?そんなことは全くない。まずは自然と文化両方に理解を。だから2冊とも読まねばならない。2022/02/27
朝ですよね
0
自然遺産とその自然と関係の深い文化をどう保護すべきなのかという問題提起。主に、白神山地、屋久島、知床や小笠原諸島などの登録済自然遺産ごとに章立てされている。自然遺産としての価値紹介と世界遺産登録時の経緯、その土地に住む方の生活との関わりが紹介されている。2020/11/01