内容説明
「私の価格は最低5万円、最高25万円」。わずか1年半の間で100人近い男性とホテルに行き、500万円以上を手にする。彼女が援助交際を始めたのは、ただ、お金をもらう代わりに自分の存在を認めてもらいたかっただけだった―。両親とのすれ違い、幼い頃のレイプ、拒食症に苛まれる日々。10年経って綴った元名門女子高生の胸の内とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
39
調べもののため再読。初回とは全く異なる読了感。確かに貴重なアーカイブであるが、何度か途中で読むのをやめようと思ったのは、彼女も含め彼女を買う大人達、彼女の周りの友達や親ーすべての人間に〈何とも知れない〉空虚感、虚脱感を覚えたからだ。それはいえば日本の社会の脆さなのかもしれないー誰も他者、弱者を大切にできないという。215頁に彼女自身が「援交にはしらせた、あたしの中に潜む何かは今もどこかに生き続ける」ーこの彼女の「中に潜む何か」について考えないといけない。売春、労働、身体、精神ー考えないとならない。 2014/01/31
アイオライト
26
「援交の過去は隠したければ黙っていればいい。けれども愛した男に話さずにはいられない。傷を舐め合うのではなく、癒えた傷を「ほら!」って見せて、あたしが生きてきたその過程を認めてもらいたい」という言葉が素敵。強い言葉だけど、援交に堕ちた彼女の孤独さもそれと表れてると思いました。生きてる時代も家庭もまったく違うけれど、生活や家庭に対する投げやりな気持ちとかは同じ世代を生きているんだなと痛感させられました。だからか(一歩間違えればベッドの上に彼女ではなく自分がいることもあったのかもしれない)と思い、ゾッとしました2016/02/25
ゆるるん
7
著者の援助交際の記録(主に心理状態)が赤裸々に記されている。段々と狂っていく人間を見るのは、なかなか辛い物があった。彼女のように色々な葛藤や絶望を持ちつつそのようなことをしている人間が世界にはどれくらいいるのだろうか。恵まれた家庭だろうと環境であろうと、人は簡単に道を外してしまう弱い生き物。他人に影響されず、自分の意志を持てる強い心を持てるようになりたいものだ。最後にちょっと、読んでて著者が自分の過去に酔ってるなと感じた。そう、まだ著者は子供のままなのかもしれない。2013/09/23
yamakujira
5
10年前に援助交際をしていた自分を振り返る回想録。お金欲しさに売春する馬鹿な女子高生を想像していたけれど、その子なりに葛藤はあるんだな。特殊な過去は気の毒だとしても、買われる金額に自分の価値を見出す承認欲求を秘めた子は多そうだね。売春を援助交際と言い換えるのも嫌だし、子供を買う大人が多いこともうんざりする。子供を買うような大人は去勢しちゃえばいいのに。売春してたから穢れてるとは思わないけれど、愛あるエッチをしてほしい、なんて青臭いことを思ってしまった。 (★★☆☆☆)2015/05/23
真青な色紙
2
援助交際をする人、そして彼女らを買う人らの心理が、ここまで克明に描かれた体験談は見たことがなかった。援助交際、売春の高校生時代をすごした作者が最終的に辿りついた結論は、「売春をしても、幸せにはなれない」という事。最終章で、彼女は現在一児の母として奮闘しているらしいが、それでも最後に書かれた一行はとてつもなく重い。 「売春はいけないこと」「体を買うのもわるいこと」とよく言われるが、まずそれをなくそうとするなら、その当事者の気持ちを知ることが大事である。この本は、その当事者の事をよく知れる本であると思う。
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