内容説明
保身、言いわけ、責任逃れのズルい男が権力を握るのが、この国である。防衛汚職事件で2年6カ月の実刑を受け現在服役中の元防衛事務次官はどのように業者と癒着してきたのか。ロッキード、ダグラス・グラマン事件以来最大といわれたこの事件とは一体何だったのか。二流官庁と蔑まれてきた防衛省(庁)と防衛産業との歪んだ関係、そしてそこに巣喰う現代公吏の生態を丹念に描くノンフィクション。
目次
序章 審判―裁判長が呆れたご都合主義
第1章 失脚―山田洋行事件の闇
第2章 名門一家―国防意識の芽生え
第3章 特殊官庁―名ばかりのシビリアンコントロール
第4章 利権―防衛産業と米ロビイストの怪しい関係
第5章 汚職―禁断のゴルフ接待と守屋家の蹉跌
第6章 我欲―利得に群がる政治家たち
第7章 逮捕―あきらめと保身のはざま
終章 獄中記―検察との取引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤瀬こうたろー
14
ひと頃話題となった元防衛事務次官の守谷武昌氏による防衛汚職事件がテーマの本です。一読して守谷氏が贈賄側である宮﨑元伸氏からなんのためらいもなく、夫婦ともどもゴルフ接待を繰り返し受けていたり次女の留学費用を出してもらっていたりと、脇の甘さ、倫理観の低さは十分分かりましたが、宮﨑氏が守谷氏の家庭に食いこんでまで得ようとしていた利権の正体がいまいち解明されてなくて残念です。裁判自体も便宜供与が立証できず、単純収賄として終結しているだけにそこが肝心なのでは。文章構成も狙いが絞りきれておらずバラバラな印象です。2022/08/31
みろり
4
収賄で逮捕された防衛省事務次官の話。インタビューとして出版する予定が、本人の家族の反対で流れ、この形式に落ち着いた模様。接待ゴルフにおぼれていった理由はわからなくもないけれど、しょーもないなぁと感じる。それよりも、フィクサーやロビイストの部分が興味深かった。2016/09/22
macho
4
いいですねぇ。陰キャ、リア充といったところですかね。見た目が残念なんですが、この手のタイプは、嫉妬が鬼強。上に対するウケは素晴らしいと思うが。一定の成果は出していると思う。しかし、この取材力は驚嘆に値する。いつもながら凄すぎる。 感想? では、僭越ながら。 曰く「恫喝?」なんぞ二流だ。「こう勝つ」 曰く、「こん畜生‼️」2013/06/30
jack
3
自分の所属する組織が潤っていれば、国民も潤うのだろか? そんなことは絶対にない。 これを、合成の誤謬という。 斯くも、現在の政治家・官僚・政商は 「小物」となったのか。石破など、只管、気持ち悪し。 ☆4.82016/02/25
anken99
3
おねだり妻で世間をにぎわせた、元防衛庁事務次官の守屋武昌に関するノンフィクション。さんざん報道されたゴルフ接待をはじめとする収賄のあれこれよりも、フィクサーが暗躍する国家間ビジネスの実態は興味深いものだった。2015/01/30