内容説明
探偵見習いの望は、名探偵・御堂八雲(みどうやくも)に呼び出され、怪事件について語り合う談話会――綺譚会に参加することに。そこで紡がれる物語は、夢幻の顔を持つ怪盗・無貌と彼の協力者たちに纏(まつ)わる、恐怖と悲哀の歴史だった。豪華列車の中に煌めく、八雲の真意と探偵たちの矜恃。明かされる綺譚の謎と、連鎖する望の宿命……! 動き出す運命の歯車に導かれた終着駅は!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
53
再読。明らかになる因縁の糸。無貌伝を全作読んだ後だと伏線回収だけでなく、シリーズ伏線の宝庫だという事実が改めて良くわかる。短編の雰囲気はやっぱりミステリ、幻想、怪奇、ノスタルジー。様々な要素に別れていて惹かれるし幻想的。・・・あのひと、改めてとんでもないな。連作短編としての完成度の高さを差し引いてもこのシリーズだと一番再読してるのがこれなのも、自分で頷けるというか。2022/03/25
藤月はな(灯れ松明の火)
38
乱歩作品の如く、綺譚会にて語られるのは魔縁が生まれるようになったきっかけと無貌との関係性、出会い。魔縁となった者達の気持ち(「家族なんて捨てたい」、「自分は耐えているだけの被害者だ」など)が分かってしまうのは私も身勝手で冷たい人間故か。巻を重ねるごとに思うのだが本当に秋津は名探偵なんだろうかということである。あのヘボぶりや後手の廻り方を知るとそりゃ、八雲さんも一緒にされると心外に思うだろうなと思ってしまいます。そんな中、まさかの探偵も怪盗も戦線離脱状態に。世代は望君や芹に移り変わるのか、はてさて・・・・。2012/11/20
たこやき
16
毎回、ヒトデナシの作る幻想的な世界が印象的なシリーズだが、本作も健在。連作短編のように構成された本作は、次々と違った舞台が現れ魅了された。物語の構成も、一見、バラバラな各エピソードが綿密に計算されて、どんどんつながり、無貌、魔縁の掘り下げに繋がるなど見事。完成度の高い一作だと思う。シリーズの中で、しかも、次作への繋ぎ、という位置づけなので、「これが面白い」と本作のみを他人に薦められないのが悔しい。2011/09/22
CCC
11
短編連作。著者はラスト付近でのキャラの見せ方がとても上手い、とシリーズ順番に読んできて思ったけれど、その長所を活かしやすい形式だったんじゃないかと思う。面白かった。2022/02/22
きゅーま
10
名探偵・御堂八雲が企画した、無貌についての情報交換を目的とした談話の場<奇譚会>に参加することになった探偵見習の望。無貌と魔縁に関わる7つの短編が語られる。今まであまり明かされなかった無貌側の背景が見えて、どれも面白かったです。『犬神』と『獣たちの宴に』『窃視症』あたりが好き。ミステリとしてはトデナシを効果的に使ったトリックが魅力のシリーズですが、本作は幻想怪奇小説の側面が強め。2012/03/31