内容説明
第12回ポプラ社小説新人賞受賞作! 人生をかけて挑む、盤上の戦い――。情熱がほとばしる極上のエンターテイメント小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
104
胸アツ、またまた次作が楽しみな作家さんの登場。小児病棟で出会ったチェス、始まりは小学生3人だった。進学高校のチェス部、全盲の少女、道を外した少年院出の未成年。4人の若者は少し特異過ぎる設定かと思うが、チェスを通して出会い、人生を進む姿には勢いがある。試合の場面ではハラハラし、悔し涙には思わず拭いてあげたくなった。そしてそれぞれの思惑を持ちながら迎える後半の大試合、命をかけての戦いの迫力。人生で、若いうちにこんな経験をできる彼らは幸せだ。 【第12回ポプラ社小説新人賞】2024/01/07
シナモン
100
チェスのルールが分からないから試合のとこはうまく思い浮かべず斜め読み。ルールが分かったらもっと楽しめたんだろうな。小児科病棟での場面、少年たちの健気さに泣いた。 どんな人生でも夢中になれるものに出会えた人生は幸せだ。 2024/08/06
美紀ちゃん
92
望木透→全身型特発性神経不全症。チェスの定跡の名前がかっこいい!カタカナで長い。アニメの必殺技のよう。エヴァーグリーンゲーム→名局。アンデルセンとデューフレンの150年以上も前の対局。ずっと色あせないという意味。樽山晴紀→進学校のチェス部。彼が釣先にチェスの存在を教える。多川冴理→生まれつき目が見えない。チェスの競技人口が少ない。女性は特に。視覚障害者用のチェスは差し込むタイプ。毒親なんだと思う。 釣先信生→マフィア。アメリカで修行。チェスの大会。賞金は一億円。命を賭けた戦いの迫力がすごい。圧巻。激アツ!2023/12/04
道楽モン
92
第12回ポプラ社小説新人賞受賞。チェスを題材とした青春小説は、新人らしからぬ達者な筆致で読み応えあり。知識が無くても、その世界観に惹き込まれてしまった。エンタメとしての必要十分条件を満たしつつも、舞台のスケール感がやや狭く感じてしまうのが唯一の欠点。国内大会とはいえ、世界各国に天才的なプレイヤーが存在しているのだから、何人か脇役として登場させても良かったと思う。とはいえ、処女作でここまで書けるのは驚嘆に値する。更に物語世界を広げられてゆくだけの力は持っている筈。自作以降、異なる舞台でのストーリ展開に期待。2023/11/09
aki☆
90
チェスに魅入られた若者達の熱い物語。とても良かった!青春小説のイメージよりかなりシリアス。重い病気の少年や全盲の少女や、施設と少年院を行き来する非行少年がチェスと出会い生き方を変えていく。学ぶ楽しさや勝つ喜びが生きる意味になる。魅入られる、夢中になる、そんな言葉では足りない熱意に圧倒された。命を削ってでも勝負に臨みたい、それくらいの情熱と覚悟を持った人達の闘いだから、どの大会の勝敗も予想出来ない面白さがあった。最後の大会での激闘もその結果も、その後の結末にも胸が熱くなった。2024/03/12