内容説明
☆2023年本屋大賞受賞作 シリーズ最新作☆
第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編
花火のように煌めいて、
届かぬ星を見上げて、
海のように見守って、
いつでもそこには愛があった。
ああ、そうか。
わたしたちは幸せだった
のかもしれないね。
『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語
「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?
「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。
「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
914
早世した櫂への思いに囚われた関係者の背景が語られる。あれほど北原先生が他人に献身的だったのは、両親の思いを受け継いでいたからだった。櫂を救えなかった編集者は、贖罪のため困難を乗り越えて遺作出版に奔走する。誰よりも深く傷ついた暁海は、血のつながらない北原の娘との生活に癒されていく。“孫”であるセレーナが「わたしのやりたいことをする」と高らかに宣言した時、必死に生きてきた自分たちは幸せだったと暁海が確信する瞬間にはまぶたが熱くなった。あまりに救いのない結末を迎えた前作の後、今ようやく救いがもたらされた思いだ。2023/12/07
starbro
850
凪良 ゆう、5作目です。第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』の続編にて家族恋愛大河小説、感動作でした。但し、数十年を300頁弱で描いているので、薄味です。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003797892023/12/28
hirokun
766
星5 本作品は、『汝、星のごとく』の続編。前作も感動しながら読ませてもらったが、この作品も前作に負けず劣らず感動したし、読後感はなぜかわからないが前作以上に心持ちがが和らいでいる。相変わらず、我々は周りの目、常識を必要以上に意識し、自分の進みたいことを素直に感じ、決定していく感性に乏しいのではないかと思う。結婚、恋愛など個々のケースにどう対応するかについては作品中の登場人物とは違いがあるが、いろんなことに悩み傷つきながらも、何をしたいのかじっくり考え、貫いていく事の大切さを感じさせられた。2023/12/04
sayuri
747
余韻から抜け出せない。「流浪の月」を読み終えた瞬間の感動が再び蘇った。「汝、星のごとく」 続編という事で前作を再読した後に手に取る。凪良さんが紡ぐ宝物のような言葉を一字一句、取り零さないように時間を掛け、ゆっくりと読み進めた。どれだけ多くの言葉を尽くしてもこの感情を言葉で伝えきる事は出来ない。自分の人生の手綱を握る事はなんて困難な事なのか。彼等、彼女らが背負っている荷物の重さと理不尽に共鳴し、胸が締め付けられる。途轍もなく残酷でありながら幾度も愛おしさに震えた。夕星を見上げる度、きっとこの物語を想い出す。2024/09/14
bunmei
729
昨年、本屋大賞に輝いた『汝、星のごとく』に登場する人々の過去やそれからを描いたスピンオフ作品。客観的に見れば、若かりし故に引き起こした、愚かで向こう見ずな過ちの数々。しかし、その一つ一つが己を信じて突き進んだ結果でにあり、振り返ってみると愛おしく感じられる決断と行動。尖った岩が急流によって、次第に削られて丸みを帯びていく石のごとく、50年の長きに渡る年月の中で、穏やかな表情へと移り変わって行く人々。しかしその芯には、そこはかとない愛情と絆を感じさせくる、凪良作品らしい、ヒューマンタッチ溢れる完結編である。2024/01/04