内容説明
近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
753
起承転結が明確なものを小説とするならば、本書は該当しない。噂話や取材メモ、SNSの書き込みや思い出などが雑然と積み重なり、何が言いたかったのか不明のまま終わるのだから。しかしホラーものでは、この形式が意外な効果を発揮する。科学に毒され超自然な存在を頭から否定する現代人には、一切が論理的に解明されず得体の知れぬ恐怖が生のまま提示される強烈な怖さが襲ってくる。時折り挟まれる異様なイラストが、その怖さを一層かき立てる。いわば非論理性に混乱し心乱される、凡百のホラーとは異なる不気味さに、思わず背筋が戦慄するのだ。2023/10/07
Kanonlicht
646
失踪したオカルト雑誌編集者の残した数々の資料から、ある地域に集中して起こっている怪異の起源に迫っていく。最近またこの手のモキュメンタリーが小説に限らず各メディアで流行っているけれど、面白い作品に共通するのは「モヤモヤ感」。結局あれは何なの?と思うからつづきが気になったり、考察したくなるわけで、わからないからこそ怖い。この本もなんだかスッキリしない、あえてぼかした表現が絶妙。普通の人間が突然おかしくなるのが一番怖い。2023/09/12
bunmei
612
フィクションをノンフィクション仕立てで展開するモキュメンタリー小説。フィクションでありながらも、見えない恐怖を身近なモノとして浮かび上がらせてくる。その恐怖の舞台となるのが、あるダムに隣接する近畿地方の●●●●●の山奥の一帯。ジャパニーズホラーらしく、背筋に悪寒を感じ自分の背後を振り返ってしまう世界観に引きずり込まれる。山へ誘い込む声、赤いコートの女、集団ヒステリー、自殺が頻発に起こるマンション、呪いのシール等、不可思議なそれらの事案が、あの山奥と繋がっていった時、呪われた扉の奥が明らかになっていく。 2023/11/11
岡本
588
Kindle。ホラーは殆ど読まないが話題作という事で気になって読了。点と点が少しづつ繋がっていくのは読んでいて楽しめたが、最後まで理解できない部分も。改めて最初かえら読めば理解できるかもしれないけど、後味の悪さを楽しむ事にしよう。2025/03/13
青乃108号
576
忘れた頃に順番が回って来た、旬を過ぎた感のある本を今さら読む。短い章が沢山で、読みやすそうであり、始めは真面目に読んでいたのだけど、どうにも俺には怖さが伝わらない。これではイカン、と普段はYMOのMEGA-MIXをBGMに本を読む事を常にしているんだけど、恐ろしげなBGMを探して環境を整え、読んだ。勿論時間は深夜だ。家族は寝静まっている。それでも。怖くない。元来どちらかと言えば怖がりの俺なのに怖くない。それに何より面白くない。構成に無駄が多く、長くてしまいには飽きてしまう。最後のオチも既視感のあるもので。2025/04/03