内容説明
外聞の悪さから疎んじられることの多い盗賊（シーフ）・斥候（スカウト）職を務める、冒険者のハリス。
孤立して酒浸りの生活を送る彼は、ある日酔った勢いで奴隷の少女ティアナを買ってしまう。それまで充分な食事も与えられず酷い扱いを受けていたティアナは、自身を優しく扱ってくれるハリスをご主人様として慕うようになる。「美人に成長したらあわよくば」と考えていたハリスも、彼女の純粋さに徐々に絆（ほだ）されていくのだった。
温かな食事、洗いたての服、今まで寄り付かなかった町の住人との交流――ティアナと暮らし始めたことで、ハリスの生活はそれまでと一変する。その一方で、やっかいごとに巻き込まれることも増えるが、彼は技術と機転で危機を躱（かわ）していき――!?
奴隷少女との出会いから始まる、やさぐれ盗賊の「再生」の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
45
見かけが悪くて、あまり受けのいい男ととは言えない中年のオッサンハリス。お金を持ったばかりに酔っぱらって奴隷の少女を買ってしまった。幼い頃から苦労してきたティアナには、自分は食べずともティアナに食料をくれる・・実際はハリスのお腹が一杯だっただけなんですが・・ティアナにとってハリスは素晴らしい人！。近隣にそう吹聴しただけでハリスの株は上昇気流に乗って・・いつの間にか女性3人に子供までが。続きを読みたいが・・。この巻だけはKUです(#^.^#)。2024/03/07
ホシナーたかはし
19
変な特技やチートもなく、警戒しながら進むダンジョンや戦闘、町での生活描写が、丁寧緻密で素晴らしい！ロードス島戦記、ソードワールドRPGの設定に忠実な、久しぶりに良い冒険譚を読みました。2022/01/10
サケ太
16
盗賊の男が、酔っぱらった勢いで買った奴隷少女。そこから始まる再起の物語。シンプルながら面白い。主人公の技量が高く、周囲から一定の評価はもらっているものの、本人の気質や偏見もあり、芽が出ていない。そんな彼が徐々に身体や評価を得ていくのが面白い。2022/07/31
のれん
15
落ち着きのあるオッサンが主人公なのだが、良い意味でこのおっさん素直じゃない。 生々しい色狂いであると序盤で示しておき、散々一人称でゲスいことを思っておいて、実際に喋る台詞やサラッと流す行動の描写はとってもイケてるおっちゃん。 純真無垢な女の子に真剣に褒められりゃ、おっさんもそりゃ嬉しい。地味でも堅実なダンジョン攻略に冤罪などのトラブル応酬のやり過ごしなど、実は実力あるおっさんに必要なのはきっと喧しくても応援してくれる子供たちだ。 派手さはないが、行き届いた優しさがあるファンタジー作品。2022/01/29
ホシナーたかはし
11
続編を期待して再読。確かに「アウトローが奴隷少女を買う」て展開は、なろう系では食傷気味ですが、本作が他と違うのはギフトだのスキルだのって一言で説明をはぶかずに、盗賊の仕事をきっちり丁寧に書いている。そこが私には面白いのです。こういう丁寧な作品が生き残ってほしいものです。2022/05/31
