ガガガ文庫<br> ミモザの告白

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ガガガ文庫
ミモザの告白

  • ISBN:9784094530186

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内容説明

その告白が、世界を変える。

とある地方都市に暮らす冴えない高校生・紙木咲馬には、完璧な幼馴染がいた。
槻ノ木汐――咲馬の幼馴染である彼は、イケメンよりも美少年という表現がしっくり来るほど魅力的な容姿をしている。そのうえスポーツ万能、かつ成績は常に学年トップクラス。極めつけには人望があり、特に女子からは絶大な人気を誇っている――。

幼馴染で誰よりも仲がよかった二人は、しかし高校に進学してからは疎遠な関係に。過去のトラウマと汐に対する劣等感から、咲馬はすっかり性格をこじらせていた。

そんな咲馬にも、好きな人ができる。
クラスの愛されキャラ・星原夏希。彼女と小説の話で意気投合した咲馬は、熱い恋心に浮かれた。
しかしその日の夜、咲馬は公園で信じられないものを目にする。

それはセーラー服を着て泣きじゃくる、槻ノ木汐だった。



『夏へのトンネル、さよならの出口』『きのうの春で、君を待つ』で大きな感動を呼んだ<時と四季>シリーズのコンビ、【八目迷×くっか】が挑む新境地。とある田舎町の学校を舞台にした、恋と変革の物語。

※「ガ報」付き!

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

海猫

140
田舎の高校で、一人の生徒の告白によって生まれた波紋。テーマはよくあるものであるが、コメディーに持っていかず、真っ正面から描いていて引き込まれる。登場人物は少し多めなものの、それぞれの配置が巧み。各人物の心の揺らめきが丁寧に描きこまれる。ドラマとしても常に人間関係が変化していくので、まったく退屈しない。特に主人公・紙木咲馬が状況の中で困惑したり理解しようとしたり、わからないなりに努力したりする様は青春小説の醍醐味。自分の心の動きにとまどうなど、問題提起として素晴らしい。凄いところで終わったがこれ、続くのか?2021/07/25

星野流人

63
幼馴染の男子が、ある日突然、女子の制服を着て学校にやってきた。ライトノベルにおいてほとんど描かれることのなかったテーマと、真摯に向き合っている作品だと思いました。描かれている困惑や拒否反応は苛烈で、読んでいて息苦しさも感じました。女の子になった汐の抱える葛藤や切なさ、そんな汐に寄り添おうとする咲馬の姿は、青春小説としても完成度の高いものでした。物語のクライマックスで必死の姿でボロボロになる咲馬はとても熱くて、よく分からなくてもよく分からないなりに汐を想っているのがはっきりと伝わってきました。2021/07/30

わゆ

57
身体は男、心は女。そんな幼馴染がある日を境に女の子として学校に通い始め、周囲とのトラブルに見舞われる中で、それでも幼馴染に関わろうとする主人公が中心のお話。自身の性自認を周囲に納得させていく難しさや衝突、ストレス、問題が鋭く描かれており、どの登場人物も様々な角度で自身の価値観と問答する。非常に読み応えがあるし、ここまでよく踏み込めたと感心する。またラノベらしい三角関係も話の中心ににしっかりと存在し、性自認が女の子である幼馴染に対する主人公の揺れる気持ちも共感しやすかった。高い文章力も相まって、神巻だった。2022/01/20

よっち

57
とある地方都市に暮らす冴えない高校生・紙木咲馬の完璧な幼馴染・槻ノ木汐。高校に進学してからは疎遠な関係な関係になっていた二人が、とある夜の公園で再会して世界が激変する青春小説。クラスの星原夏希に淡い恋心を抱く咲馬。そんな彼が劣等感を募らせる存在だった汐の抱える秘密。周囲が困惑するのも無理ないなと思う急展開に、良くも悪くも抱く思いあればこそ過剰な反応にもなるわけで、強烈なアリサや掴みどころのない世良の存在が効いていましたが、咲馬が振り回されながらも汐に懸命に向き合おうとした末の困惑の結末は…波乱必至ですね。2021/07/21

オセロ

54
様々な価値観が渦巻く現代において、生きづらい事情を抱える人はたしかにいて、その中でも今作は(作中では言葉を濁していましたが)性同一性障害にフォーカスを当てた作品。性同一性障害の汐を巡って、戸惑いながらも受け入れようとする咲馬と星崎も、汐の将来の為に今まで通り男として生きるべきと主張する西園も、女として受け入れた世良も、誰も間違えたことは言ってないし、正解がないから難しい。とても読み応えのある作品でした。単巻かと思いきや、続きがあるとのことで嬉しい限りです。2021/08/01

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