内容説明
「え? マケインって誰のこと?」
クラスの背景である俺――温水和彦は、あるとき人気女子・八奈見杏菜が男子に振られるのを目撃する。
「私をお嫁さんにするって言ったのに、ひどくないかな?」
「それ、いくつの頃の話?」
「4、5歳だけど」
それはノーカンだろ。
これをきっかけに、陸上部の焼塩檸檬、文芸部の小鞠知花など、負け感あふれる女子たちが現れて――?
「温水君。女の子は2種類に分けられるの。幼馴染か、泥棒猫か」
「なるほど、大胆な分類だ」
負けてこそ輝く彼女たちに、幸いあれ。
負けヒロイン――マケインたちに絡まれる謎の青春が、ここに幕を開ける!
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
芳樹
102
こりゃ傑作。前評判通りの面白さでした。いみぎむる先生のイラストも最高。本作品にピッタリですね。さて、幼なじみの関係一つとってもそれぞれ違って、また負けパターンも色々で(負けた方には申し訳ないが)楽しく読ませてもらいました。「マケイン」たちのその後、という切り口が新しくて良いですね。読み進めて行って終着点がなかなか見えてこず、どうなっちゃうのと思いましたが、上手いことオチが付いて最後にくすりともうひと笑い。負けてから始まる青春だって良いじゃない。続編があれば嬉しい限りです。2021/07/27
星野流人
71
めちゃくちゃおもしろかったです! 主人公とヒロインの恋物語の前に、儚くも散っていった負けヒロイン……そんな彼女たちにスポットライトを当てたラブコメ。まず負けヒロインたちが負けヒロインとは思えないくらい可愛くて魅力的で、だけど負けヒロイン故にどこか残念なところもあって。そんな彼女たちとのコミカルなやり取りは、読んでいてとても楽しいものでした。合宿に行ったりと楽しいイベントをこなしながら、一方で恋の切なさもしっかり描いているのが良かったです。負けヒロインもストーリーもイベントも全てが楽しい、最高のエンタメ作品2021/08/10
rotti619
66
登場ヒロインが全員目の前で振られて、誰一人主人公に気持ちが一切向かっていないという、こんなコンセプトのラノベは初めて読んだ。まさに異色。でも、気持ちは向かっていないけど繋がっている。その関係を悪くないと思っている。その辺のさじ加減が素晴らしい。短期間なのに、主人公とヒロイン達と間に生まれた、思いを共有する仲間意識のような空気はこの作品を読む上でとても心地よいものにしている。最も主人公自身は誰にも告白していないし、振られてもいないのだが。その辺の不憫さも含めて、絶妙なバランスで成り立つ素晴らしい作品だった。2021/07/27
かんけー
65
読了♪冒頭?お約束のラノベとポテチ&コーラで読書シンキングタイム♪の筈が、どうやらここはファミレスの片隅。まず一敗目のプロ幼馴染み八奈見杏菜の負けっプリから(ー_ー;)...あら筋は飛ばして、二敗目焼塩檸檬[約束された敗北]wんで?三敗目、戦う前から負けてwいる小毬知花の撤退戦、個性的な振られヒロイン満載な今作♪特に八奈見、自分のペースに巻き込み?何時の間にか主導権握ってボッチ主人公を貶める(^_^;)温水和彦、完璧妹の手のひらで右往左往。八奈見の食欲旺盛さ、焼塩のズレたポジティブさ、小毬の拗らせイジイジ2021/09/15
わゆ
58
所謂モブ・背景属性の主人公と、恋に破れたヒロイン達のラブコメ。地の文・会話ともにスピード感とキレが小気味よく、随所で笑いながら読ませてもらった。負けヒロイン「だけ」を集めたラブコメ、という構図はある種実験的だが、それぞれの個性に「負け」要素が付加され、キャラ毎の魅力がより引き立てられていたと感じた。物語として成功している。更にこういった人間臭い「負け」を見せられていた主人公が、背景属性から一歩踏み込みにいく後半の展開は、彼の成長と今後が楽しみになる展開でした。これぞラブコメ、という超良作、続刊も楽しみ。2021/09/13