内容説明
新型ウイルスが増幅させたものは何か。人々はほんとうは“何に”感染したのか。「ウイルスの惑星」たる地球における生物との共生の関係を見つめ、ウイルスの存在価値を根底から問い直す画期的論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
74
この本で一番興味深かったのは、ヴァイロセル仮説だった。ミミウイルスという巨大ウイルスに感染した(アカント)アメーバは、そのリボゾームの大半をウイルスのタンパク質合成のため奪われ、自分のタンパク質を合成できなくなってしまう。細胞は細胞としての意味を成さず、細胞核も出番を失ってしまう。こうした「ほとんどすべての機能をウイルスに乗っ取られてしまった状態の細胞をヴァイロセルと言う。 2021/04/28
壱萬弐仟縁
38
今なお、JR線不通のN図書室新刊棚より。複製こそが、生命現象、生命の基本である(15頁)。兄貴と同年齢の武村先生は、コロナウイルスが無症状で済む場合があると、専門家でさえ思わなかったと指摘される(24頁)。ウイルスの本質は、複数の視点から眺めてその姿を現してくれる(28頁)。一筋縄ではいかぬということだ。ノロウイルスといえば、2007年1月、ヲヤジがトイレで自分で掃除しないで人にやらせたため、私が感染、下痢で慶應通信科目試験6科目D(全滅)に遭った。カプセルホテルに泊まって往復電車代をパーにしてしまった。2021/08/19
美東
13
タイトルは「ウイルスはささやく」となっているが、ウイルスになりかわって著者はきわめて雄弁である。 巻末の著者プロフィールに ”趣味は筋肉” とあるが、近影を拝見して納得!2021/07/22
Go Extreme
4
ウイルス論―ウイルスとはなにか:生物と生命 子孫を生み出すということ 複製 ミミウイルス論―ウイルスの戦略:ウイルス学 巨大ウイルスとミミウイルス 細胞に感染する方法 マルセイユウイルス論―小さいウイルスたちの生き様:小さな巨大ウイルス 社会現象としてのフル 遺伝子借用術 パンドラウイルス論―ウイルスはどれだけ大きくなるか:大きさの視点 ウイルス学 細胞核をぶっ壊す メドゥーサウイルス論―ウイルスは進化し、進化させる:コピペ論 コピペは生命世界では常識 複製と変容 遺伝子泥棒か遺伝子サンタクロースか2021/04/19
ねこうさぎ
1
少し専門的な本で難しいところもあったが、生物とウイルスの関係性がさらに解明されるといいな。地球はウイルスの星であるというのは、かなり本質にせまっていくのかもしれない。2023/10/12