講談社現代新書<br> はじめてのプラトン 批判と変革の哲学

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講談社現代新書
はじめてのプラトン 批判と変革の哲学

  • 著者名:中畑正志【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2021/05発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065237335

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内容説明

プラトン哲学の「おもしろくて大切なところ」をあえて一言で表わせば、「批判と変革の哲学」だ、と言いたい。こんなふうに表現すると、プラトンを旧式の左翼の一員に仕立てているように聞こえそうだ。だが、これは特定の政治的立場を表わそうとしたものではない。

「批判」つまりクリティークとは、非難したり否定的な態度をとったりすることではなく、相手とする主張の論拠やそこからの帰結などについてよく考察し、事の是非を判断することを言う。

「変革」も、政治体制だけではなく、日常的な考え方や生活を含む人間の営みの全体がその対象となる。そしてプラトンは「批判と変革」を自身の思考についても実践していた。

これらすべての意味で、「批判と変革の哲学」なのだ。

プラトンは探究し、執筆し、そして教育した。そうしたなかで彼が直面していたのは、森羅万象を支える根本原理は何か、よい生き方とは何か、といった「哲学的」問題だけではない。

当時の人びとに人気を博したホメロスや悲劇・喜劇、あるいは幼年や少年時に施される体育や音楽の教育といった人びとの日常的営みに対してもプラトンは向き合っていた。いやむしろ、そこから哲学を考えていた。そして彼は、日々の暮らしから世界の根源にいたるまでの全体を相手に、批判的に、かつ包括的に考えたのだ。

同時に、そのような考察がたどり着いたところを広く伝えることに腐心した。彼は一般に人びとに何かを伝える媒体(メディア)のあり方にきわめて意識的だったが、とりわけ自分自身の思考が人びとに届くよう工夫を凝らした。

その著作に、それに触れる人びとの知性と感性にも訴え、反省的な思考だけでなく感情や想像力までも喚起し、そしてそれらを変更する力を与えたのである。

それが彼の哲学、「批判と変革の哲学」である。

【本書の内容】
第一章 プラトンはどう書いたのか、プラトンをどう読むか
第二章 プラトン哲学の原点
第三章 自己と他者を変える対話
第四章 魂・徳・知の関係
第五章 変革へと促すイデア論
第六章 魂の分割 『国家』その1
第七章 哲学者と善のイデア 『国家』その2
第八章 プラトン、その後に

知、真理、魂のあり方を徹底的に考え抜いたプラトンが導く、思考の冒険!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

150
前期中期後期と分類されているのでわかりやすい。同じプラトンにも多様な解釈が可能で、ナチズムを正当化するためにも用いられた。理想主義のプラトン、現実主義のアリストテレスという有名な2分は正確ではない。プラトンの書物に通底するのは疑問を持てということだった。ソクラテスの対話篇を通して議論が奨励された。疑問は自分の教えにも向けられるべきだと説いた。孔子、釈迦、キリストなど弟子たちによって教えを広められた聖人は歴史上いるが、自分の教えに疑問を持てというのは多くないようだ。2023/12/04

mana

39
本当に分かったのかどうかも分からない…。哲学ってそういうものだよなと。入門にしては、幅広い知識を扱っているのでやや難しめかなとも思うが、読み応え十分。読者に考えさせるための対話篇。イデア論、魂の三区分、善のイデアなどなど、基本的なものはきちんと押さえられた気がする。…気がするだけかもしれないが。2023/01/04

ころこ

38
イデア論の第5章で、イデア論に対置されるのはウィトゲンシュタインの家族的類似性だといったり、第4章でプシュケーやアレテーを論じるのにアリストテレスと比較したりと、全体の見通しを良くしようとする著者の工夫は新書の読者には情報過多だった模様である。内容はそつがない。第5章のイデア論と第6章の魂の3区分説を重ねて「はじめに」で言及されていた『国家』における善のイデアを論じることになり、例の「太陽の比喩」に辿り着くことになる。知識だけでなくちゃんと論じてあり、文字通りの知の反省と変容になっている。2022/10/16

プランクマン

17
本当に初めて読むには難しいけど、ジャンルとしてそういうものだと思うしか。 何の前提知識も持たずにプラトンを読んでも挫折するか、文字を追って終わるだろうから、例え著者の思考(思い)が入ってしまうとしても、私のような初心者にはとても有り難い内容である。 いつもながら知識、キーワードとして自身の蓄積は感じられるが、そういうもんじゃないなと思う。2021/07/14

かんがく

13
一番最初の対話篇という形式に関する考察は面白く読んだが、途中で完全に論点を見失った。魂、徳、善、イデアなどが主要テーマになっていることはわかったが、それに対するプラトンの立ち位置というものがよくわからないまま終わってしまった。2022/10/15

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