ママ、最後の抱擁 - わたしたちに動物の情動がわかるのか

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ママ、最後の抱擁 - わたしたちに動物の情動がわかるのか

  • ISBN:9784314011785

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内容説明

死を悼み、不公平を嫌悪し、喜びをわかちあう。
情動は、いわば臓器のようなものだ――霊長類の社会的知能研究の第一人者が満を持して動物の情動を語る。
ニューヨークタイムズ・ベストセラー。
ユヴァル・ノア・ハラリ、ロバート・サポルスキー、デズモンド・モリス推薦!

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Amazon Best science books of 2019に選出!
PEN / E.O. Wilson Literary Science Writing Award 受賞作!
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情動は、いわば臓器のようなものだ。
わたしたちはそのいっさいを他の哺乳動物と共有している。
そのすべては、われわれの社会的な営みに不可欠なものだ。

仲間の苦しみを取り除くラット、パートナーの死を嘆くカラス、恩を忘れないチンパンジー……人間だけが豊かな情動をもつという証拠は、なにもない。

心理学との境界を行く独自の動物研究分野を切り拓いてきた著者が、長らく科学界でタブーとされてきたテーマを満を持して語る。
前作『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』の姉妹篇となる、ドゥ・ヴァール最新作。
驚きのエピソード満載、著者自身の手によるイラスト多数。

目次

プロローグ

第1章 ママの最後の抱擁――類人猿のアルファメスの暇乞い
自分自身の姿を認める/ママの中心的な役割/アルファメス/死の最終性と嘆き

第2章 心を覗く窓――霊長類が笑ったり微笑んだりするとき
自己を表現せよ/満面の笑み/それは面白い!/混ざり合った情動

第3章 体から体へ――共感と同情
積年の叡智/サル真似/痛む箇所に口づけをする/善と悪/ラットの同情

第4章 私たちを人間たらしめている情動――嫌悪、羞恥、後ろめたさ、その他の不快さ
喉が渇いた馬/目には目を/自負と偏見/犬のように後ろめたそうに/オェッとなる要因/情動は臓器のようなもの

第5章 権力への意志――政治、謀殺、争い
アルファオスのように/政治家の癇癪/謀殺/闘いの太鼓/メスの力

第6章 情動的知能――公平さと自由意志について
心の讃歌/キュウリとブドウをサルに与えると/最後通牒ゲーム/自由意志とB.S./私の味方になってくれ

第7章 感覚性――動物が感じるもの
食肉とセンシェンス/クリュシッポスの犬/進化に奇跡はいらない/魚は悲鳴を上げなくても/透明性

第8章 結論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

56
動物(主に霊長類)の研究が、人間社会を解き明かす鍵になる興味深さ。今まで生活する上で思い巡らすことさえなかった情動(感情ではなく)について、素晴らしい観点と知識を得ることが出来た。動物が情動を表出させるエピソードは、例をあげれば切りがないほど面白いものが多いので、読んでいても一切飽きることがない。とりわけドナルド・トランプをアルファオスに例えた権力に関する章は相当に秀逸。動物とは何か、人間とは何かをすら考えさせられる。本当に面白い本だった。期待以上の良書である。2020/10/02

俊介

11
タイトルからも分かるように感動的な本だ。「ママ」という名前のチンパンジーを主題に、動物の「心」に迫った本。学術論文なので、分厚いし、難しいところもあるが、ここまで情感を揺さぶられる論文も少ないのでは。ママが亡くなる間際、長年ママを研究してきた学者が、感動の抱擁を果たす。科学は、とりわけ人間以外の動物の「心」を研究対象とはしにくいのだけど、それを忘れてはいけないということを教えてくれる。しかし、哺乳類に心があるのは分かる。なら、爬虫類には?虫には?私はある、と思う。そんなことを考えさせられる本だった。2021/06/17

マイアミ

5
★★★★ 主にチンパンジーやボノボなど類人猿の観察や実験を通して動物の持つ情動について理解が深まる本で、特に6章の情動的知能が面白かった。どの実験でも、人もそして動物も相対的な不平等を受け入れず、公平さを求める。これは、生まれながらにして公平さという機能が備わっている、つまり遺伝子に組み込まれていることになる。この社会に偽善者はいないのだ。ただ公平さを求める人間がいるだけ、とも考えられる。動物の情動に対する研究は未だ発展途上の分野らしいのでこれからも興味深い研究成果が紹介されることを期待したい。2020/11/22

takao

2
ふむ2022/05/31

takucyan1103

2
【IG図書館】行動観察は、私にとってごく自然なことだ。あまりにたやすいので、やり過ぎる嫌いがある。2021/03/21

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