内容説明
ヨーロッパで生まれた「神話学」は、どのように広がり、どう変節してきたのか。ミュラーがダーウィンの思想と出会い、考えたこととは? フレイザーが『金枝篇』で遺した影響とは? レヴィ=ストロースは何を神話の源泉としたのか? キャンベルのつくった「健全な神話」とは何か?「神話」の定義から現代における影響まで、学説史に沿って文献を渉猟し、豊富な引用で、西洋に横たわる思想の本質に迫る意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
塩崎ツトム
9
神話研究について、日本でも有名なフレイザー、レヴィ=ストロース、ジョーゼフ・キャンベルを通してざっくり説明。創作者の味方、キャンベルについては結構ぼろくそに書いている。ああ、またAmazonの欲しいものリストが増えていく。2019/02/04
さとうしん
9
古典的なものを中心とする神話学の学説史。神話学が元来比較言語学や人類学との関係が密接であったことや、レヴィ=ストロースが「構造」を神話学に取り入れたといった学問的背景、あるいは『金枝篇』がキリスト教批判として読まれたこと、キャンベルとスターウォーズとの関係など、学説の受容に関する話を面白く読んだ。古代・中世・近代の時代区分や「宗教」の定義などと同様、「神話」も西欧の基準を他者にあてはめるという側面が強いのではないかと感じたが…2019/01/17
ふるい
8
大変興味深く読んだ。どこまでが神話でどこからが物語なんだろう。レヴィ=ストロース難しそうだけど読んでみたい。キャンベルがやたら胡散臭く感じるw2019/03/02
amanon
4
個人的にはインド=ヨーロッパ語族の発見とアーリア主義との関係に驚かされたのと同時に納得もいった。人ってどれだけ自分に都合のいいストーリーをいともたやすく信じ込んでしまうのか…と。また、取り上げられている六人の学者それぞれ一長一短があるのは勿論だが、ありうべき神話学のあり方を著者の立場からの示唆があっても良かったのでは?という気がする。それから気になったのが、巻末で述べられている現状における神話学の危うい立場。確かに実学からは程遠い性格ではあるが、しかしある意味人間の普遍学でもある。後続を期待したい。2019/04/25
in medio tutissimus ibis.
3
キリスト教の衰退と西洋絶対優位の懐疑をパラダイムシフトとして、神話学は進化論と歴史学に基き神話を過去のものとみなす十九世紀型から、普遍的無意識を基に神話を人類に普遍的なものとする二十世紀型へと移った。それに伴い神話を理解する鍵、即ち最高の神秘は、自然→社会→人間と移った。しかし、本書が取り上げたのは西洋の学者ばかりである為に特に、そこに西洋対他者(主にインドやアメリカ先住民)の二項対立の構造は厳然として残る。文庫版出版までに更なる大理論として動物行動学や遺伝子学的人類史とビックデータに基づくものが生まれた2022/07/18
-
- 電子書籍
- グローバルエリートが目指すハイエンドト…
-
- 電子書籍
- 細胞の中の分子生物学 最新・生命科学入…
-
- 電子書籍
- パズル・生物入門 楽しみながら学ぶため…
-
- 電子書籍
- ジムに通う人の栄養学 スポーツ栄養学入…