創元推理文庫<br> 真実の10メートル手前

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創元推理文庫
真実の10メートル手前

  • 著者名:米澤穂信【著】
  • 価格 ¥740(本体¥673)
  • 東京創元社(2018/03発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488451097

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内容説明

高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める。太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執――己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、土砂崩れの現場から救出された老夫婦との会話を通して太刀洗のジャーナリストとしての姿勢を描く「綱渡りの成功例」など粒揃いの6編。第155回直木賞候補作。/解説=宇田川拓也

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カメ吉

283
六話からなる短編集ですが、どの作品も面白かった。『さよなら妖精』の太刀洗万智の十数年後の活躍?を描いた話。フリーのジャーナリストとして各事件の本質を的確に見抜きそれに迫っていく彼女のキャラに引き込まれました。クールな姿勢の中に時折見せる温かさと人間味が魅力的でした。特に第五話『ナイフを失われた思い出の中に』は秀逸でした。最後に二転三転する推理の面白さと登場する『ヨヴァノヴィチ』氏の妹が『さよなら妖精』のマーヤ?なのかな?と懐かしさもあり感慨深い作品でした。2018/04/22

bunmei

278
『王のサーカス』でも登場した、風変わりなフリージャーナリスト・太刀洗万智の短編集。今回もその観察力と洞察力で、事件の報道や表面には表れてこない、裏に潜む真実を見極めていきます。しかし、その真実を暴くことが、決して心穏やかになるものではなく、むしろ水面下に沈んでいった方が幸せなのかもしれない真実も…。それでも、その残酷ともいえる真実に目を向けようとする、太刀洗のジャーナリスト魂が、この本を貫くテーマなのでしょう。本作では5つの事件について、太刀洗の淡々とした推理を通して、その真実を明らかにしていきます。 2018/05/19

イアン

196
★★★★★★★☆☆☆ジャーナリスト・太刀洗万智が事件を追うベルーフシリーズの短編集。発生した地名から「恋累心中」と呼ばれた高校生の心中事件。しかしその悲劇の裏には意外な動機があった…(「恋累心中」)。収録された6編とも「死の匂い」を色濃く感じさせるが、電話の内容から失踪者の居場所を特定したり、非常食の食べ方から言外の真相を突き止めたりと日常系ミステリの要素もある。表面的に見えるものからその背景を探る洞察力と、掴んだ事実をどう報じるかというジャーナリストとしての矜持。そんな太刀洗万智の魅力が詰まった作品集。2022/09/17

中原れい

176
短編集が長編1冊より読みでがあるってこと、よくある。これもそうでした。表題作が独立短編になってよかった!どれもズシンと胸にこたえる作品でしたね。マーヤの兄さんについて回られる取材はくたびれたでしょう、万智さんお疲れ様^^正義がどこにあって事実がどうで報道とはどういうものか。あれこれ考えさせられますが、書くこと、書かないことにより対象や世間に誤りを広げないように、としている万智は好ましいです。ミタライと名前ややこしい同士で遭遇してほしい(ゑ)何しろ重かった楽しかった!2021/11/08

agtk

168
「さよなら妖精」の太刀洗万智の物語。なかなかビターな味わいが切ない。表題作もいいが、「恋累心中」や「ナイフを失われた思い出の中に」も捨てがたい。ジャーナリストとしての太刀洗万智の人間性に魅力を感じる。8月刊行の文庫「王とサーカス」が待ち遠しい。2018/05/21

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