内容説明
北方の守護者。神の使徒。悪魔の子ら。
悪魔が人類の隣人として振る舞っていた時代。魔術師のダヤンと屍人形のアリアは、悪魔退治を生業としながら、旅を続けていた。
ダヤンの目的はただ一つ。己が手をかけ、屍人形にしてしまったアリアを生き返らせること。そのためには、アリアの父親にして、ダヤンの魔術の師であるオスカーを捜し出さなければならない。かつての記憶を失った彼女に真実を打ち明けられない制約を抱え、自分を殺した仇と憎まれながらも、ダヤンは自分を押し殺し露悪的な人物を演じていた。
わずかな情報を頼りに訪れた北の街。そこでは教会の厳しい戒律により、魔術が禁止され魔術師が弾圧されていた。魔術師である親が処刑され、孤児となった子供が悪魔の子と罵られる歪な街。アリアは一刻も早くこの街から去ることを提案するが、ダヤンはやっと得られたオスカーの手がかりに拘り続ける。しかも、街の教会では奇妙な毒が蔓延する事件が起きているようで、いっそう魔術師に対する教会の目は厳しい。そんな中で、ダヤンたちは北国最強と謳われる異端審問官に目を付けられてしまうのだが……。
悪魔を喰らう魔術師と哀れな屍人形の旅路。忘却の果てに垣間見る、魂と契約の物語第二集。
※「ガ報」付き！
※ガガガ10周年電子特典！シリーズ既刊すべてのカバーイラスト付き！
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばたやん@かみがた
9
教会で一緒に孤児として育った二人は、一人は魔術師に、もう一人は異端審問官となる。後者は前者を火炙りにする。いまわの際に彼が屍の少女に託した後事とは自分が殺した親友の遺児を迫害から逃れさせることだった。/人は存外愛を忘れることができない。少女に好かれまいと偽悪的に振る舞うダヤンは病者を見捨てられない。自らを屍人形に変えた彼を憎んでいる筈のアリアには彼の善性を感じる本性が備わっている。最初から破綻が約束された契約。こんな崖っぷちを描き出す作者こそメフィストフェレスの一党だろう。そしてそれを貪る貴方も、私も。2018/05/22
真白優樹
8
魔術師が弾圧される北の街で、異端審問官に睨まれ騒ぎに巻き込まれる今巻。―――悪魔と人との永遠の約束、それは罪なるか。価値観と考え方のおかしい北の街、信仰に凝り固まった教会と異端審問官。そして孤児達と蔓延する毒。歪な形で固まった舞台の真実に触れ、敢えて汚名を被るダヤン。既に救いなどなく、更に無辜の民の為命を削り、余計な新たな因縁すら背負い込む。傍らのアリアも虚像に悩まされ、2人はどこまでも救われない。それでも歩いていく彼等を西の国で待つ師匠の思惑とは。新たな地に待つのは災厄か。 次巻も須らく期待である。2017/12/19
リク@ぼっち党員
7
ダヤンの『優しさ』がとても独特で面白い。この『優しさ』は自分を偽るようなひねくれものにこそ響き、清廉潔白で真っ直ぐな精神の持ち主ほど理解できないだろう。魔術師を嫌悪する土地でアリア蘇生の鍵を握る元師の手がかり探し。ダヤンの他人の嫌がることをしないなんて聖人の鑑みたいな行動が、ここまで徹底できると逆に破綻者にしか感じられない不思議。いきすぎた行動や信念もまた他人には理解できない。クロノアはどっちにも転びそうだったけど、結果はそっちか。アリアの心に綻びが見え始めたところで元師との対面がどうなるか。2017/12/26
ふる
5
★★★☆☆/オスカーがいるとの情報から典型的な魔術師淘汰主義である北の国・フラウフェンを訪れたダヤンとアリア。そこで異端審問官を教会を巡ったトラブルを起こし、巻き込まれていく第2巻。ダヤンとアリアの関係性、そしてダヤンの歪んだ優しさはやはりこの作品の魅力であり、その狂気的にも感じるダヤンの振る舞いは読者を虜にします。ゲストキャラっぽかったクロノアですがとてもキャラが立っていたし次巻以降も出てきてほしいところですね。2018/01/17
なぷ
0
おお…クロノアもやはり宮野作品の女性だわ…って言うラストにキャッキャ。ほんと人の共感を求めないキャラばかりなのだけど、極端さよりも心地よさを覚えるの凄いわぁ。2018/09/17
