ガガガ文庫<br> 平浦ファミリズム

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ガガガ文庫
平浦ファミリズム

  • ISBN:9784094516890

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内容説明

家族がいれば、それでよかった。

五年前、ベンチャー企業の社長である母を亡くした平浦一慶。残されたのは、喧嘩っ早いトランスジェンダーの姉、オタクで引き籠りの妹、コミュ障でフリーターの父だった。かく言う一慶も、高校にもろくに通わず、母から受け継いだエンジニアとしての才能を活かし、ひとりアプリ開発に精を出す日々を送っていた。
そんな一慶をなんとか更生させようと、毎日のように電話をかけてくる担任の天野小春や、優等生であるがゆえ嫌々ながら彼にからんでくるクラスメイトの千条真理香。それぞれのエゴを押し付ける周囲に辟易しつつも、親のためにも高校くらいは卒業しようと中途半端に学校に通い続ける一慶。
そんなある日のこと、一慶は、いじめられていた小学生の女の子を偶然救ってあげたことが誤解を生み、児童暴行未遂の嫌疑をかけられ、学校側から退学処分を言い渡されてしまう。家族、教師、クラスメイト、様々な想いが交錯する中、一慶はずっと胸の奥底にひた隠してきた自分自身の心に、もう一度向き合わざるを得なくなる……。
『BLACK LAGOON』の著者・広江礼威氏も絶賛した珠玉の青春小説。第11回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞作品。

※「ガ報」付き!

※ガガガ10周年電子特典!シリーズ既刊すべてのカバーイラスト付き!

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりも

67
五年前、ベンチャー企業の社長である母を亡くした平沼一慶。これはそんな彼と家族の物語。すごい、読んでいて鳥肌が立つ作品に出会ったのは久々だ。大賞に相応しい素晴らしい物語です。人の数だけ主義主張が存在し、個性の尊重と周囲との協調が必要となる現代社会。今作はそんな現代社会において、過去に人間の悪意に晒された天才少年が、様々な出来事を通じて再び人と向き合うまでを描いた、ラノベの枠を超えた課題作だろう。いや、これ本当ラノベと思って読んだら痛い目に会うわ。作品の方向性だけでなく、完成度も高い文句無しの1冊。必読です。2017/07/26

よっち

64
五年前にベンチャー企業社長である母を亡くした平浦一慶。残されたトランスジェンダーの姉、オタクで引き籠りの妹、コミュ障でフリーターの父とともに過ごす日々が描かれる青春小説。何でも自分でできてしまうがゆえに高校にもろくに通わず、アプリ開発に精を出す日々を送る一慶。過去の苦い経験から周囲に無関心でしたけど、誤解されて窮地に陥った時でも彼のことを気にかけてくれる人たちがいて、不器用な交流の中にもたくさん気づけたことがあって、彼だけでなく周囲もまたその影響を受けて成長してゆく展開は、とても心に響くものがありました。2017/10/02

ツバサ

35
とても素晴らしかった。家族の中で生きていくので十分だった主人公が家族以外の他人の好意が素直に受け取れず悩む姿は現代の少年って感じでした。色々あり、家族しか見てなかった主人公が周りの他人達に目を向けるようになるラストは爽快でした。次巻や次回作を楽しみにしてます。2017/07/22

真白優樹

33
大黒柱であった母の死後、どこか壊れた家族の中、自己完結した人間不信の少年が数々の人々に出会い変わっていく物語。―――家族の輪、そこから一歩踏み出そう。家族の殻に閉じこもり、周囲に対し心を閉ざす。でもそんな中でも背を押すのは母の言葉、家族の言葉。不器用な、でもどこか純粋な少年の姿に家族の絆の形を見た時、そこには一つの青春の形が見える筈。そして、人々に向き合っていく少年の姿を見守っていく時、きっと世界は少しはマシだと思える。これはそんな絆と黒い世界の中の一筋の光に出会える作品であり、何かが心に刺さる作品。2017/07/20

shin

32
一家の屋台骨だった母親の死から5年、一慶が自分や周囲と改めて向き合うお話。事情を抱える家族だけど、問題じゃなくありのままでいていいと認め受け入れている幸せの描かれ方が印象的。否応なく生じる家族以外の人との関わりで、生活を揺るがす出来事や他者の視点から浮き彫りになる一慶の欠落した部分がどうなっていくのか、それぞれの立場を踏まえた上で伝わる心のゆれ動きに引きこまれた。一慶の姿勢が徹底してたからこそ自分ならどうだろう?と読む自分の諦めにも向き直るような、当たり前のようで忘れがちな事に気づかせてくれるお話でした。2017/08/24

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