ガガガ文庫<br> ヒイラギエイク

個数:1
紙書籍版価格
¥672
  • 電子書籍
  • Reader

ガガガ文庫
ヒイラギエイク

  • ISBN:9784094516234

ファイル: /

内容説明

走って行かなきゃいけない夏がある。

中学二年生、夏休み。あの村で僕、荻原出海は仁科美音と出会った。

望んでいたはずの静かな夏とは違う、騒がしくて賑やかな日々。都会の喧噪や家庭の事情からやっと離れられたと思っていたのに、僕を待っていたのはそんな毎日だった。都会から来た僕には、それが少し気恥ずかしくて、それが少し煩わしくて……。それでも美音はいつも僕に笑顔を向けてくれた。

青い空、入道雲、蝉の声、小川のせせらぎ、打ち上げ花火、夜空に輝く天の川。あの夏のぜんぶの景色に美音がいた。中学二年生の僕は、この一瞬が永遠に続くと思っていた。あの夏はずっと終わらないと思っていた。けれども、時計は針を刻む。時間は未来への一方通行で、どんなに願ってもひとつひとつ年を重ねていくのがコトワリだ。

やり直せない過去。取り戻せない夏――だからこそ僕は、走り続けなきゃいけない。どれだけの時間が過ぎていっても、どれだけの距離が離れていても、もう一度君に会いたい夏があるから。

第10回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。新進気鋭のイラストレーター・やすもがイラストを担当。忘れられないあの夏に会いに行く、少年少女の青春グラフィティー。

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりも

49
両親の離婚によって、夏休みの間だけ叔父の住む田舎で過ごすことになった少年が、4人の少女達と出会うところから始まる物語。うーん、良くも悪くも優秀作らしい作品ですね。個性は正直ありませんが、1つの青春作品としてはそれなりに上手く纏まっていたと思います。ただSF要素が完全に浮いていたせいで、田舎で作る一夏の思い出がボヤけてしまったのは残念。タイムリープ要素を入れるなら、もう少しちゃんと作り込んで入れたほうが良かったかな。ヒロインも4人いる意味が無かったように思うし、色々と惜しい点の多い作品でした。次回作に期待。2016/07/25

よっち

47
中学二年生の夏休み。叔父の田舎で荻原出海たち4人の少女と出会い、魅力的な彼女たちと多くの時を共に過ごし、そして村の閉鎖的な風習に巻き込まれてゆく物語。両親が離婚協議をしていて傷心の出海、田舎で出会った4人の少女たち、そして幼き頃に出会った少女との再会。共に過ごす中で自覚していく自らの気持ちと距離感に戸惑う気持ち、思いを交わす中での甘酸っぱいやり取りやどうにもならないもどかしさが良かったですが、その後も彼女のことを思い続ける出海や少女たちが、いつか再会できる未来があるといいなと願わずにはいられませんでした。2016/07/25

かんけー

31
面白いです♪カラー口絵を見た時は女の子4人が同じ姓なので四ツ子姉妹?と勘違い(^_^;)確かに地方へ行くと同じ名字の集落って有るね?出海は中学二年、夏休みに成ったので離婚協議中の両親にウンザリして叔父さんの田舎である長野へ逃避行する?山奥の村で出会った4人の女の子達は皆な個性的で♪その玉川村にはたなばたさんと云う古くからの風習があり..?夏休みの情景の描写が秀逸(^.^)燕や出海達の会話を通して自分も「あの頃」にトリップしてしまった♪虫取りや魚釣りそして綺麗なその川で泳いだ思い出..従姉妹の姉がいて漫画→2016/08/07

真白優樹

27
夏休み、限界集落で少年と少女達が出会い始まる物語。―――誰よりも会いたい君がいる、誰よりも想う君がいる。だからこそそこへ走っていける。田舎で出会った少女達と過ごす夏、そしてその中で惹かれ合う少年と少女。全ての思い出に君がいた、だけど風習の生贄により時間の壁に隔てられ、その手と手は離れ、道は分かたれてしまう。だけど、だけどそれでも会いたい君に。会えるかなんて分からない、でもこの想いは永遠だから。想いが理すらも凌駕するならきっとまた会えるはずだから。少年は再会の夏を目指して自分の道を走り続ける。2016/07/20

ツバサ

22
夏に田舎に行って小さい頃遊んでた子と恋に落ちる。最後はスッキリする終わりじゃないけど、いつかまた再開するというのを残してたから救いがあって良かった。こういうのは夏に読むと作品に浸れて良いな。2016/08/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11060277
  • ご注意事項