内容説明
旅の終焉。覚醒の時。そして別れ――
ついに旅の目的地である旧ガルディア魔導帝国へと足を踏み入れたネロとアーシェ。そこは、魔法使いたちの呪いによって荒野と化した不毛の領域だった。皇都跡地を目指してさらに歩き続けた二人は、水と食料が尽きるころ、中継地点である“小さな古城”へとたどり着く。そこには、圧政に耐えかね国を追われた人々が寄り添うように暮らしていた……。
一方、“真実の書”を奪ったギルダという名の魔女を追う、エスタルトの軍人モーガンは、300年前にも同じ名前の魔女が存在していたことを知る。魔導帝国の皇帝となるはずだったその魔女は、帝国の滅亡とともに処刑されたという。手がかりを求め、モーガンもまた旧魔導帝国の地へと向かう。
そして、皇都跡地ではひとりの魔女が、“その時”が訪れるのを静かに待っていた……。長い道のりを経て、旅の終わりを迎えたネロとアーシェを待つのは、希望か、それとも……。
優しさと残酷さに満ちた世界を旅する少年と魔女の娘の物語、いよいよ完結。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
33
魔導帝国に辿り着いたネロとアーシェ、幼い二人の旅の結末。魔法は何でも解決してくれる都合のいいものではなくて、それをどう使っていくか考えていかねばならないという、ある意味必然的な結論に落ち着いたわけなんですが、まだまだ年長者の助けが必要な時期だけに、お母さんたちとの関係を修復できて良かったですね。時間が経過して成長しても色褪せない大切な思い。幼い二人なりの葛藤や紆余曲折もありましたが、描かれたスケール感からすると妥当なボリュームで、これからの未来を予感させる読後感も悪くなかったです。次回作も期待しています。2014/07/18
異世界西郷さん
30
長い旅路の果てに、とうとう旧魔導帝国に辿り着いたネロとアーシェ。願いを叶えるため皇都跡地に辿り着いた一行は、待ち構えていた魔女ギルダにより驚愕の真実を知らされる。3巻にして完結。良かったです。今まで、所々で語られてきた魔導帝国滅亡の真相やミドナが本当に意図していたこと、ネロの妹を生き返らせる儀式の顛末など伏線が回収されていてページをめくる手が止まりませんでした。一時はどうなるかと思いましたが、困難を乗り越えてふたりがまた歩き出す姿は心打たれました。この作者の次回作があれば読みたいです。2014/07/27
あなほりふくろう
27
何も知らない子供たちが大人に無情に振り回された、その果てに。真実を目の当たりにして心折れるネロは、これはもう仕方ない。それでも一番大事な存在を見失わなかったアーシェは、あの時点での別れは仕方ないがそれにしても、随分と強く、優しくなったように思う。ネロが真実の書を読んでから魔女を「追う」数年間は彼にとっても必要な時間だったかもしれないし、だからこそのラストシーンなのだと思う。とても優しい終劇でした。2014/08/01
アウル
25
最終巻。やはり魔法といえども万能ではなくその人の使い方によるなと思わされる。目的は果たす事が出来なかったが問題と向き合い前に進んでいき、魔女は世界に嫌われているが未来は変えていくことができるという希望がある終わり方で良かった。難点としてはキャラの掘り下げがもう少し欲しかったな。モーガンさんがやっぱりカッコよすぎる。次回作も期待。2014/07/25
まりも
25
最終巻。遂に皇都へたどり着いたネロとアーシェ。彼らの願いがようやく叶うと思ったらアーシェの魔法には残酷な真実があった。今回で最終回という事もあってアーシェとネロ二人の結末が救いになったのは良かった。ただ結末を重視しすぎた結果そこに至るまでの過程が描写不足だったかな。真実の書に頼りすぎて二人の心情描写が微妙なのも残念。二人が旅の中で様々な事を経験していく姿をもっと読みたかった。何はともあれ姑二人＋ネロアーシェの生活はどうなるのかな。その後を描いた後日談とか欲しいですね。2014/07/22
