ガガガ文庫<br> ワールズエンド・ガールフレンド

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ガガガ文庫
ワールズエンド・ガールフレンド

  • ISBN:9784094513158

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内容説明

こんなにも、懐かしいのは……。

もしその人の世界をかたちづくるのが記憶なら、それを失くした彼女は世界の果てに放り出されたようなものだーー。
「ねえ、『ここが世界の果てなら』って。そう考えたらいいと思う」
夜の公園で、君の奇抜の提案に、俺はつい言葉に詰まる。
世界の果て、世界の終わりーー果てと終わりの向こうには未知が広がる。それはそこにたどり着いた誰かの可能性そのもの。
「ねえ、そしたらその先は、誰もが初めて見る景色だから。
 誰も見たこと無いならさ、それは自分だけのものじゃない?
 だから、不安なんてただの古い世界の言い伝えって思えば……」
そんなふうに思えたら、俺はなにも考えずにいま君を抱きしめることも出来るんだろうか。
「……ねえ、わたしのこと好き?」
双子の姉妹、まひると真夜。幼なじみの少年、慎司。それぞれに恋心を抱きながら育ち、やがて高校生となったある日、真夜は事故により記憶を失い、日常がゆるやかに崩壊をはじめる。

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひめありす@灯れ松明の火

39
世界の果ては世界の始まりに繋がっていて、世界の果てが夜を迎えるころに、世界の始まりは昼を迎える。物語の始まりと終わりがくっついていて、延々とループしているみたい。ぐるぐると、その場で自転を繰り返す、小さな星の様。記憶を失う、過去を失くすというのはきっと、こんな無間地獄の『現在』だけを繰り返すような、そんな気持ちにきっとなるのだろう。表紙の意味は、最後まで読んでやっとわかる。過去という導がないんじゃなかった。彼女が放棄したのは未来の方向。どちらを向いて進めばいいのか。そして彼はどちらを向いて歩き始めるのかな2012/03/06

F

18
高校生の慎司と、幼なじみの双子の姉妹、まひると真夜。それぞれに恋心を抱きながら育った三人の関係は、真夜が事故で記憶喪失になったことで大きく変わる――。現在、過去と視点を変えながら、やがて明らかになる真実とは……。本当にそれで良かったの?と問わずにいられない。読後、冒頭に立ち返って『世界の果て』から歩きはじめることを決めた二人の姿は、やっぱりちょっと哀しい。「絶望の果てに希望をみつけたろう/同じ望みならここでかなえよう/僕はここにいる 心は消さない」くるり「WORLD'S END SUPERNOVA」より2011/12/20

ymartak

14
記憶を失った少女と幼馴染みの少年の物語が、時系列を飛びつつ展開される。ラノベレーベル作品ながら、綾崎隼さんの作品を思い起こさせる、メディアワークス文庫に入っていてもおかしくないような内容。2013/12/26

ばんぶー

14
今までの荒川作品は、読んだ事が有りませんが、あとがきの、田中ロミオさんが言ってらしゃるように、甘々の恋愛小説ではなく、深く心に染み入る作品だと思います。縁が有って、この荒川さんとは、お話もする事も有りますが、そういおう贔屓目を取り除いても、良いお話だと僕は思います。前回、読んだ、”陽だまりの彼女”に引き続き、2011年の、僕のベスト10に入る1冊、間違いなしです。御本人曰く、ラノベとおっしゃっておられましたが、確かに、ガガガ文庫という、ラノベレーベルですが、その領域を超えているのでは?有川浩さんのような、2011/12/21

サイバーパンツ

12
世界の果ては世界の始まりに繋がっていて、どこまでも続く。人生は選択の連続で、それはまた間違いの連続でもあるのだが、それでも私たちは選択し続けなければならない。世界の果てに放り出されても、未来へ向かって選び続けるしかないのだろう、例えループモノのように終わりがなくとも。田中ロミオが解説で述べている通り、現実のどうしようもなさを突きつける冷徹な小説だと思うが、不安感に満ちていながら、冗長ささえ心地よいような独特の雰囲気に、温もりを感じなくはないのだ。見方を変えれば、それは諦念と言えるのかもしれないけど。2017/04/01

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