ガガガ文庫<br> ペイルライダー

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ガガガ文庫
ペイルライダー

  • ISBN:9784094513141

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内容説明

クラスに守るものはあるか!?青春破壊小説

転校を繰り返してきた享一は他人と親しく接する事はせず、転入から転出までの期間をひとつの人生と捉えていて、最後は破壊で終わる事で去っていく自分を他人の記憶に残そうとする。鷹音は、自分が加わっていない他人の和が、円満に円滑に幸せに転がっていくのを、ドラマや映画を見ているように横から眺めている。女教師である蒔絵は、生徒に対し取引による統治を試みる。密告と評価の交換、推薦枠を餌にしたその取引はクラスに一見完璧な静穏と緊張を与え、生徒による相互監視の自律という「完璧さ」を目論む。
 三者三様それぞれの思惑がクラスに混乱をもたらし…そして!

 江波節全開の青春破壊小説

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

alafish

16
真っ黒な話だがほどほどに熱い。映画批評のブログを持っている主人公の一人称視点は、時折客観的に自分を、周りを見つめ、三人称的視点にシフトする。暴力を振るう相手が自分のことをどう思っているか。自分の発言に対して何を思うか。レッテルを貼れば、見方が偏り、足をすくわれる。ネットについては、緩く薄い繋がり、と言いながらも、そのおかげで自然体で人との関わりを持つことが出来ると言う。淡々と語られる出来事に、どうしようもなくリアルを感じてしまう。描き方次第では鈍重になりそうな物語をここまで軽快に動かせる作者の力量に驚く。2011/12/19

Schunag

14
すばらしいクラスルーム・ノワール。《映画秘宝》読者はとりあえず必読のボンクラ・ノワールでもあります。古い善悪二元論を否定する地点から物語をはじめつつ、やがてディック・フランシスの名作『大穴』を経由して、やはりフランシスの名作『利腕』の主題を謳いあげてしまう凄い小説。序盤の不穏な語りにはジム・トンプスンな気配も。描写の濃度やリアリズムとの距離感から、これはラノベじゃないんではと思うも、むしろ、こういう小説を包容できる「ラノベ」というラベル/レーベルの自由さに一種の憧憬すら感じます。2012/01/02

訃報

11
傑作。すごくよくできてる。『ストレンジボイス』は語り手が終始観察者だったけど本作の語り手は観察者と実行者の両方をこなす。呪いとなって主人公を突き動かす過去のトラウマも観察者として設定されており、一方的に見るだけでなかなか姿を見せないこの亡霊のような神のような視線を語り手とともに受けるとき、読者は作者の駒として操られる「見られる」だけの登場人物の恐怖を体感する。そしてもうひとりの観察者であるヒロインの視線がもたらしてくれる安堵が際立つ。この視線フェチは作者が映画好きなことに起因するのか。小道具のメガネは腹が2013/10/14

torta_fl

9
面白かった。キチガイレベルに捻くれた主人公が転校先のクラスをめちゃくちゃにする話。前二作と比べるとエンタメ色が強かった。色々と強烈な展開。クズ野郎の主人公が相手を負かしちゃうのが面白い。ぼこぼこにされてる最中も言葉たくみに相手を脅して動揺させて言い負かす。そんでもって途中から急にバイオレンス。殺す気でやってる。「俺のシステムは攻撃に反応して容赦なく作動する。反撃の大義名分を掲げて叩き壊していく。」自分からふっかけておいてそれかよって感じでもう面白い。完全にキチガイ。奨めないけど奨めたい。スマフォは凶器。2012/01/27

CCC

8
ハードボイルドだ。そう思うとボコボコにされるのも様式美なのかもしれない(障害残るレベルまでいってるのはハードだが)。あと登場人物のほぼほぼ全員が犯罪者なことに気づいて笑った。法を破ってなさそうなのはオフ会の人たちくらいじゃなかろうか。2018/08/23

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