ガガガ文庫<br> ハムレット・シンドローム

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ガガガ文庫
ハムレット・シンドローム

  • ISBN:9784094511680

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内容説明

演劇中の事故以来、自分がハムレットだと信じ続けるコマツ。『ハムレット』の登場人物を演じる彼の城へソフエは向かう。コマツが本当におかしいのかを確かめに行ったソフエは消え、アユコが城へ向かうが……。

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりも

31
再読。自らの事をハムレットだと思っている男の住む城を舞台にした物語。久々に読んだけど、やっぱり病んでますね。登場人物だけでなく、これを書いた作者も病んでるのではないかと疑ってしまうくらい病的な物語で、正直自分は何を読んでいるのか全くわからなくなります。最初は全くもって意味不明だった物語が、ページを進めていく事で作者のメッセージがぼんやりと伝わってくる感じがオツですわ。これぞ怪作といった内容の作品ですな。この作品を世に売り出した作者さんとガガガに乾杯したい気分。ところで次回作いつ出るの?2016/07/14

のれん

16
語りが独特。抽象的な理論を語ると思えば、唐突な話題に切り替わってまた戻る。 翻案元の影響とそれを演ずる課程を表現しているのかもしれない。ハムレットと言えば陰鬱で狂気的な復讐劇の極地だが、その根底は「演じる」ことにあるという。 ハムレットは恋も敵も忘れた狂気を演じたことで、かつての自分を殺してしまった。そしてそういう自分を殺す演技は誰もが日常的に行っていること。 序盤は狂気の伝播を描くが途中からは原題の紹介を交えた演じることへの普遍性と狂気を哲学していく。 真似から人と物語は生まれるのかもしれない。2021/12/01

ニッポニテス的遍歴

7
☆=3/5 双子、「世界劇場」、自動人形、劇中劇など最近観た『ゲキドル』と共通する要素が多くて不思議な符合を感じる。 佯狂と真の狂気は区別できない~とか、現実とフィクションの間の第四の壁を破壊せよ~みたいなことを説く作品は世に多いが、本作では更に一歩踏み込んだ理論展開が待ち受ける。曰く「≪別の≫芝居なんてないの。みんな継ぎ目のない一連なりだから」。虚構同士を隔てる壁すら破壊され相互嵌入しあう。ATフィールド破壊して超個体を目指した旧エヴァにも通じる倒錯した母性原理的ビジョン。実に耽美。 2021/03/25

空箱零士

6
★★★ 「役割」を演ずる。何に対して? 世界に対して。しかしこのように「世界」と呼ぶ時、僕たちの認識は普通、「世界」という言葉を使うのもおこがましいくらいに狭い。僕たちは単純に、それを見る者に対して「役割」を演ずる。今更、わざわざ『クロスチャンネル』的学校世界の生徒たちと、それを監視する「大人」なる存在を振る舞いを持ち出す必要もないだろう。そうとも、僕たちは「社会」に生きる「誰か(たち)」の振る舞いを「演じて」生きている。今更、その事実だけを取り出して語ることへの意義など、欠片ほどにも残されていやしない。2017/03/05

iuba

6
なるほど面白かったです。元ネタは知らないのですが、ハムレットを演じるうちに自らもまたハムレットである/ハムレットでない自分を見失う という構図がすんなりと入ってきたのでそのまま。劇場には舞台と観客席を隔てる第四の壁があるのですが、この話は役者がその壁から飛び降りてなお劇が止まらない不気味さを感じさせます。役者/登場人物は「すべて他者から己の役を定義される」という文脈において立場が同じなので、こんな芸当ができたのでしょうか。2014/11/23

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