内容説明
少年が開いた扉は、何故だかアクセサリー店へと繋がっていた。来た道を思い出せない少年の前に現れたのは、無神経で無愛想、おまけに生活能力ゼロの店主。その傍らには、喋る狼が!? 訪れる客も、風変りな者ばかり。店主に店の所在地を訊ねても、飄飄とした的外れな答えしか得られない。「迷子、おまえがどこから来たのか当ててやろう」……すべてが不合理な中、奇妙なゲームが始まった! ※作品の表現や演出を考慮して、電子版は本文縦組で制作しております。また一部のページを改変しております。※
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
44
再読。様々な世界、自己を見失う迷い人はそのアクセサリー店に迷い込む。記憶のないまま帰れないメイが見る世界ごとに変わる価値観。高里さんらしい彩りと諦観とそれでも優しさに満ちたお話。生体と迷子の話はやっぱり好き。この引きで続きがないのは残念。なお、特典カードSSは公衆衛生に多大な問題!!一緒はダメ絶対。2022/04/30
絳楸蘭
33
高里さんにしては読みやすかった(スミセン笑)迷子ってなに?と思ったら、そのまま迷子だった。しかもそれまでの記憶がない。記憶を取り戻して帰るのかな…と思っていたら、そこまで単純ではないようだ。アクセサリー店の扉が開く度に毛色の違うお客が現れるのはハウルの家の扉みたい。何をすべきか見つけた迷子の話はまだまだ続きそうで楽しみ♪2014/08/15
瀧ながれ
30
しゃべるわんこ(正しくは狼)がもふもふで、お店に並んだアクセサリーがきらきらしていて、スープの湯気があたたかくて、なんだかそれでじゅうぶん満ち足りてしまった。次元を越えた迷子がやってくるアクセサリー店を舞台にした連作短編で、どのエピソードも、ちょっと苦くてちょっと甘い、心惹かれるものでした。恋の物語もどこかやるせなくて、風味がいいです。二人と一匹で店は安定しているので、もっといろんなお客さまをみたいですね。メイくんはもう、帰らなくてもいいんじゃなぁい?(なんちゃって)2015/12/14
shimaosa
27
シオンの作るアクセサリーにわくわくしつつ読了。皆それぞれアクセサリーの注文意外にも悩みを抱えているけど誰しも一度は悩むようなことなので感情移入しちゃう。メイとシオン、あとマルの静かな時間がどんな風に終わるのか続きが楽しみ。2014/08/19
燈真
18
高里さんがこういうレーベルで書くの珍しい?と思いつつ、繊細でちょっと酷で、でも優しい物語、堪能いたしました。メイは記憶がない以外はフツーの(日本風の)男の子ですね。捨ててきたっていう背景が気になるなぁ。シオンは公平すぎて無機質、だが味がある。マルは癒し系に分類して良いんですよね?ね?最後、ウァラクの話は非常に日本的で、思わず目を細めてしまいました。続編希望!2014/08/11