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内容説明
「すべての過去を盤面に穿（うが）ち、鳴り響くのは電光オルゴール」――。世界最年少アジルのひとり、無口な少年フウは人の記憶をオルゴールに封じ込める技術を持つ、電光オルゴール創作人。依頼者は、世界が愛する歌姫・ティレジア。栄光を極め、誰の心にも喜びを届けた彼女が、オルゴールに封じ込めたい記憶とは？ 連載時におまけとして描き連ねていた『コラム・グルタ島』から、番外編『ダーナ探検隊』、そして後日談にいたるまで、第一期『グルタ島日記』シリーズのすべてをこの一冊に収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
28
スチームパンクっぽい作品。｢グルタ島南部砂丘…そのオアシスに最年少のアジル（錬金術師?）が住み記憶を自在に操るという、その少年は多くの人々の薄れ行く過去と忘れる事の出来ない思い出を小さなオルゴールの音色とともに、私たちのもとへと届けてくれました｣過去への巡礼に赴いた、一人の歌姫の物語。ゆっくりゆったりと語られる彼女の記憶の痛みと、ともに描かれる、風景や空気の匂いが読者の五感を揺さぶる、夏の刺すような日差し、円やかな木漏れ日、青く高い空と遠くを渡る雲、冷たく柔らかい水の流れ、あるいは身に積もり凍みる冬の雪…2016/12/26
緋莢
13
人の記憶をオルゴールに封じ込める電光オルゴール創作人である少年・フウ。彼の元に現れたのは、歌姫・ティレジア。彼女が封じ込める記憶が描かれます。アレックスという少年と出会い、街を飛び出したティレジア。アレックスがギターを弾き、ティレジアが歌い、やがて有名になっていく２人。 だが、アレックスはある決断をします。哀しさもありながら、優しくて、温かさもある。そんなストーリーと、ピッタリの絵でした。終盤、フウに言われた言葉は、ティレジアにとって大きな救いになったんだろうな、と思いました。2020/02/16
まりもん
13
友人に借りて読了。不思議な役目の少年フウにうまく引き込まれた。2014/06/14
a
12
グルタ南部砂丘の中の一つの塔「東8番視塔」に住む表紙絵の少年フウが、高度な技術を持ってクライアントの記憶を具現化させ、追体験させ、その人に過去と向き合わせることを仕事をしている。このお話では、一人の淑女ティレジアの苦い記憶が語られることとなる。一つ一つの画の書き込みがすごく、セリフ回しもかなりのこだわりを感じ、映画に似たような余韻を感じました。何よりも設定がかなり練られていて、雰囲気がいいです！本編終了後の設定集には正直驚きました。グルタ島を舞台にしてあと3作品くらい描けそうに思えました…。2015/12/13
sibasiba
9
再読。依頼者の思い出すことの出来ない深層に沈む記憶を汲み出す電光オルゴールを作り出す最年少アジル「フウ」の元を訪れた歌姫。蘇り再生させられる彼女の物語。奇妙でレトロなガジェットが彩る世界が特徴の漫画。おまけの「グルタ島コラム」も楽しいしこの世界でいくらでもシリーズ化できそう。ただ本番と言える記憶再生過去回想の開始8話まで100頁使うのはスローテンポ過ぎ。丁寧に物語を描きたいのだろうけどもうちょっと何とかならなかったのか。2017/04/20
