内容説明
女三の宮が柏木との不義の子・薫を出産した。怒りを抑えきれないものの、自らの因果に思いいたって愕然とする源氏。長く臥せっていた紫の上が亡くなり、光源氏の時代もまた、とうとう終わりを告げるのだった……。読者の心を掴んで離さない、起伏にとんだストーリー展開。いまなお古びない、魅力あふれる全54帖が、與謝野晶子の麗筆で現代によみがえる。第四巻には「柏木」から「総角」までを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
12
「雲隠れ」(源氏薨去)の巻が抜け落ちているということを初めて知る。式部の演出だとしたら、効果は抜群であろう。2012/04/21
よしひろ
11
深い恋愛について、紫式部の透徹したまなざしは崩れない。不朽の名作だと思う。不幸な時、人々は本当に占い、その効用も本気で信じていたんだなと思った。2015/09/20
アリョーシャ
6
前半は夕霧、柏木といった次の世代の話から、六条院(光源氏)が薨去した後は、薫、匂宮といった、さらに次の世代の話が主となる。光源氏がいなくなった後は、劉備がいなくなった「三国志演義」のような寂しさを心配していたが、杞憂だった。「うじうじしている」という評判の薫の君は、きまじめだが臆病な性格で、状況を打破できずに翻弄されてしまう。薫が得た無力感は、現実の世界で自分が感じるものと同じだったのだろう。そんな頼りない薫を見て、ふと気づくと、「そうじゃない」「チャンスだ」「がんばれ」と応援している自分がいた。2015/10/10
Kei
5
紫の上が亡くなる。源氏も晩年。薫の君の話。2023/05/04
shou
2
優雅な恋愛遊戯から一転、源氏の晩年は主題が濃厚になってきた。いよいよ宇治十帖へ。確かに作風の違いを感じる巻はあるけれども、「雲隠れ」のタイトルと本文なしという構成が作者の意図なら凄い効かせ方だと思う。2013/06/02