破獄

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破獄

  • 著者名:吉村昭
  • 価格 ¥616(本体¥560)
  • 新潮社(2013/05発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101117218

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内容説明

昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和22年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の四度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

306
戦前から戦後にかけて、刑務所から四度脱獄した佐久間清太郎。彼の超人的な脱獄手法と看守達の労苦を、激動する世相と共に描く。刑務所と共に発展した網走経済。知られざる刑務所の食糧事情。対米戦争の激化により減る官員。緻密な計画を立てながら、ふとした人情で捕まる佐久間。彼が府中刑務所で徐々に人間性を取り戻していく様子が興味深く感じた。実際に脱獄を断念したのは温情と、これまでの逃避行による疲れもあると思う。人間の持つ傑出した能力。残念ながら佐久間は脱獄にその能力を使ったが、他の事柄に活かせば別の生き方もあった。力作。2019/02/17

修一郎

224
佐々木清次郎の4回の脱獄手口には感動すらしてしまう。並外れた身体能力と看守の気持ちを繰る様子が淡々とした文章で緻密に描かれている。過酷な刑務所だった網走刑務所が戦時中は食事情が良く囚人生存率が最良だったとか,処遇基準が守られる囚人に比べて看守はひもじい思いをしており羨ましささえ感じていたとか,並行して描かれた戦時の行刑史から当時の環境もわかりこっちも面白かった。ドラマ版破獄で圧巻の演技を観てから山田孝之が好きになった。緒形拳版はこれから観ます。次の吉村作品は「羆嵐」です。2020/10/27

ちび\\\\٩( 'ω' )و ////

213
昭和初期。11年青森刑務所脱獄。17年秋田刑務所脱獄。19年網走刑務所脱獄。22年札幌刑務所脱獄。犯罪史史上未曾有の四度の脱獄を実行した無期刑囚、佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口。厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じ込めた男達の息詰まる闘いを、また、名前は仮名だが実際にあった事件をもとに、著者の綿密な踏査、調査によって描かれた力ある小説。戦中戦後の混乱した時代背景を彩りながら、北国の地で捲き起こる昭和の脱獄王の物語。「脱獄出来ない独房なんてないんだよ。必ず逃げ出して見せる!」 2019/01/06

ehirano1

180
戦前から高度成長期を生きた超人的脱獄囚vs.看守及び所長の話。”北風と太陽”の一例?2016/03/11

hit4papa

174
実在の昭和の脱獄王をモデルにした記録文学的な作品。強盗殺人の罪で捕らえられ刑務所に収監されてから、昭和11年を最初に計四度脱獄しては、逮捕・収監を繰り返した佐久間。主役は彼に翻弄される刑務所の所長、看守でしょう。二・二六事件から太平洋戦争、そして戦後にかけての時代背景を、囚人と看守にスポットを当て詳細につづっています。極寒の網走刑務所での日々は想像を絶する状態です。読みながら怖気を振るわざるを得ません。脱獄王の何故?、そして戦況が悪くなった時の刑務所の実態、その後と、知的好奇心を満足させてくれる一冊です。2023/03/28

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