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内容説明
なぜキリスト教信者ではない日本人にとっても、クリスマスは特別行事になっているのか? それは実は、力で押してくるキリスト教文化の厄介な侵入を――彼らを怒らせることなく――防ぎ、やり過ごしていくための、「日本人ならではの知恵」だった! 「恋人たちが愛し合うクリスマス」という逸脱も、その「知恵」の延長線上にあったのだ――キリスト教伝来500年史から、極上の「日本史ミステリー」を読み解こう!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
325
冒頭はディジョン大聖堂でのサンタクロースの火あぶりというセンセーショナルな始まり。これにレヴィ・ストロースの権威が付いている。全体のトーンはアカデミックなものではなく大いに主観的。もっとも、1549年のザビエルにはじまり、江戸期の禁教時代を経て近代にいたるまでのキリスト教受容史は、内面の問題を問わなければよく整理されている。また、本書で初めて知ったことも多い。例えば、昭和初期にすでに日本では狂瀾のクリスマスが演じられていたことなど。クリスマスは戦後のアメリカ文化の奔流に乗ってやってきたとばかり思っていた。2017/12/17
青蓮
99
読友さんの感想より。常々思っていた「なぜクリスマスは恋人と過ごすのか?」という疑問を抱いており、それへの回答が知りたくて読みました。本書では女性誌「an・an」「non・no」が仕掛けたロマンチック革命だと解説しています。そもそもクリスマスを祝う風習は(中身は現代とは全く違う姿ですが)キリスト教の宣教師が日本にやってきた時代から存在したらしい。日本におけるキリスト教の立ち位置や、なぜクリスマスだけが定着して宗教は根付かなかったのかを歴史的事実を踏まえて解りやすく解説していて大変勉強になりました。2017/12/21
おかむら
42
日本のクリスマスをめぐる世相風俗史。これは面白かった! キリスト教と関係なくただ盛り上がって騒ぐ日の起源がなんと日露戦争に勝ったあたり(1906年)からだとは! 昭和初期の乱痴気騒ぎ、戦時下を挟んで戦後すぐにまた乱痴気騒ぎ、高度経済成長期のホームクリスマス、バブル期の恋人たちのクリスマス、最近のハロウィンに負けてる状況まで。戦前のクリスマスがカフェーやダンスホールでおじさんたちが大はしゃぎってのがビックリだ! あと大正天皇が亡くなったのが12月25日なので戦前は祭日だったとか! 2017/11/14
たこやき
17
毎年、日本で大騒ぎをするクリスマス。しかし、日本でその意味を知っている人は少ない。なぜ、日本とクリスマスの関係性について、歴史を紐解いた書。そもそも、キリスト教以前から、この時期に祭があり、それと結びついたのではないか? という前史。また明治維新後、なし崩しにキリスト教が入る中での様子は興味深かった。当初、キリスト教が入ったとき、帝国ホテルで行われたパーティ。そのイベントでは、講談師や落語家が……って(笑) ただ、近年の男女のイベントになったところ、そして、キリスト教を日本に入れないため、はちょっと強引。2018/05/09
もんらっしぇ
16
本来キリスト教の祝祭日であるクリスマスに無縁の日本人が一体全体なぜこんなに大騒ぎをするのか?という疑問がずーっと自分の中にありました…余計なお世話かもしれませんけどw 結局クリスマスの過剰な祝祭化は「資本主義の本質的な問題」ですね。アメリカ的なそしてとても日本的でもあるクリスマスは遅れてきた資本主義国ならではの祝祭。中世的権威を無視しそれが世界中で受け入れられその象徴がサンタクロースの存在ではないかと。結局資本主義国であるかぎりは宗教とは関係なくこれからもクリスマスを祝わなければならないのでしょうね…2019/12/24