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内容説明
最先端の生命科学が扱う「生命」と、日常生活の中で思う「いのち」は、同じもの。科学の進歩がめざましい現在だからこそ、そのふたつをつないで語る必要があるのではないか? では、どのように語ることが可能か? 生物学者でありバイオアート作家である著者が、5つのアプローチで論じる。刺激的な生命論。
目次
プロローグ
第1章 つくりながら理解する生物学──細胞をつくるとは?
第2章 「細胞を創る」研究会をつくる
第3章 合成生物学の源流をめぐって
第4章 表現する生命科学──生命美学という試み
第5章 現代芸術における生命
エピローグ
おわりに
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
24
著者の岩崎さんは合成生物学の研究のかたわら切り絵作家としても活動している。もともと芸術系に進みたかったようで、生命美学というジャンルを作ったいきさつが興味深い。ベンターのゲノム解析あたりまでは知っていたが、その後の「生命をつくる」「細胞をつくる」という方向の科学の進展も知ることができた。生物を使った芸術活動については生理的に受け付けられない部分もあるが、生命の作り出す形に魅了される気持ちはわかる。生命を人の手で作り出せない限り「生命を理解した」と言えないのか?深甚な問いかけ。2018/07/04
月をみるもの
12
IT 系の業界では最新の研究のことを SOTA=State of the art と言うんだけど、それはつまり「まだ科学ではなく ART である研究」ってことなのだ、、ということに気づかされた。。2018/07/29
またの名
10
なんの疑いも抱かず「細胞膜にあるレセプターが物質Aを認識するとその信号は細胞内シグナル分子を使った情報伝達系で核に伝えられていき、遺伝子Bの発現を誘導する」といった記述を客観的だと思えるなら前半は読めるけど、本書はそこで終わらない。明らかに擬人化された記述様式が比喩と変わらないことを自覚する著者は生物学の枠を超えて、哲学や芸術も援用。科学の記述が特定のレトリックに依拠せざるをえない事実は現代哲学では常識的事項。制度化され制限された学問の枠で記せない感情や観念や問題提起の表現を、芸術にも協働させようとする。2017/02/18
ミズグ
10
本書の主要なテーマと展開は、すごく知的であることはわかった。けれど難しかった。半分以上理解できていない。2014/07/20
Humbaba
10
例え同じ物を作り出すことが出来たとしても,それでそのものが完全にわかるわけではない.無論作れた方が作れないよりはわかっていることは多いといえるだろう.しかし,それはあくまでも第一歩にしか過ぎない.2013/05/13