福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」

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福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」

  • ISBN:9784062884433

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内容説明

官邸や東電本店の要請に従わず、海水注水を強行した吉田昌郎・福島第一原発所長。日本中が喝采を送った「海水注水騒動」だが、事故から5年半経って原子炉にほとんど水が入っていなかったことが判明した。6年にわたる検証で浮かび上がってきた数々の「1号機冷却」の謎に迫る!東京電力技術者や原発専門家ら1000人以上の取材して浮かび上がってきたのが、原子炉冷却をめぐる「情報の共有」に失敗という事実だった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

89
2011年3月11日、福島原発で発生したメルトダウン事故を検証。取材を通して見えてきた事故の本質が何だったかを探る。メルトダウンというかつて起きたことがなく起こしてはいけない事故だ。津波で電源が喪失し冷却ができなかったこと以外に危機に直面した時の組織の対応力にも課題があるという。あの状況では冷静に判断できないことは仕方が無いと思う。しかし失敗の本質は明らかにすることは大事だと思う。少なくともそれが明確になり対策が出来るまで全国の原発再稼働はするべきではない。2017/12/20

竹園和明

38
未だ検証の途中である福イチ。NHK取材班が6年をかけて調査した結果をまとめたものがこれだ。電源喪失時でも原子炉を冷却するシステム「イソコン」が、あの時稼働しなかった事。そしてそれが吉田所長の元まで伝わっていなかった事。そのイソコンの稼働演習を40年間していなかった事。注入した海水が実は原子炉に届いていなかった事…。慢心が生んだこれらお粗末な対応は「想定外」などと言う以前の問題だろう。リスクと対峙する覚悟もなく、原子力という化け物を扱っている重みすら感じなくなった組織。これを人災と言わず何と呼べばいいのか。2017/11/16

rico

31
本書の元になったNスペは見た記憶がある。具体的な記録や証言を積み重ね、検証を重ねる番組づくりが印象的だった。導き出された教訓は、実地の訓練を行うことの重要性、情報の集約のありかたや対応要員の健康管理など、ごくあたりまえのこと。それができなかった背景には、起こり得る事故の想定の甘さがあったのではなかったか。安全神話があったのではないか。あの事故から学ぶことはまだまだあるはずだ。2018/03/08

きょちょ

26
人災であると改めて思った。1号機の水素爆発がなければ、2・3号機のメルトダウンは防げた可能性が高い。全電源喪失という想定がなされていなかったのは危機管理が甘いとしか言いようがない。それでも1号機はイソコンという、電源が無くても稼働する冷却装置があるが、40年稼働させたことが無く結果1号機は津波後全く冷却されなかった。メルトダウン、メルトスルーはとてもやっかいで、これにより完璧な廃炉は不可能。教訓は、1、情報共有2、時代を超えての情報共有(記録を残すこと)3、円滑なコミュニケーション4、睡眠など。★★★★★2017/10/24

kochi

24
いちえふの1号機には、「イソコン」と呼ばれる冷却装置があったが、長く試運転もされず、動作状態を誰も経験したことがなく、そもそも電源がなくても動作するイソコンのはずが、全電源喪失により停止することも誰も知らなかったという。複雑で理解できないものには近づかないと言う「ばあちゃん、じいちゃんの理屈」が、正しいのか?もう一つ、2016年7月の報告書に、「石棺」の文字が記載されたところ大騒ぎになり、政治介入により削除され、タブー扱いに。この二つの事実だけでも暗澹たる気分になるには十分すぎる。2017/10/31

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