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内容説明
魔女にのろいをかけられて,ふわふわ浮いてしまうお姫さま.〈重さ〉をとりもどせるただひとつの場所,湖も,魔女のたくらみでしだいに干上がり,お姫さまは弱ってゆきます.お姫さまを救うためには,だれかの命を犠牲にしなければなりません──.表題作のほか,幻想的な「昼の少年と夜の少女」を収録しました.
目次
目 次
かるいお姫さま
昼の少年と夜の少女
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
88
溜息が出るほど素敵な話だった。人の心の真髄を掠めながら軽妙に展開する表題作。王子さまが登場してからは一転、官能的なまでの美しい恋物語に。しかしお姫さまに受け止められることなく空回りする王子さまの想いは、これ以上削ぎ落とせない程不純物を除いた恋心を見るようで、少し当てられてしまう。ふわふわとした状態から重力に吸い寄せられる終盤、押し寄せる焦燥感から現実に帰着する様は圧巻。こんなにもロマンチックで、それなのに地に足の着いたハッピーエンドを描ける作家は他にいないのでは。2篇目の「昼の少年と夜の少女」も美しい。2022/05/17
☆よいこ
53
ふたつのお姫様物語が入っている。[かるいお姫さま]王様の姉は魔女。お姫さまの誕生のお祝い会に魔女を招待し忘れたために呪いをかけられてしまう。「心もかるく、身体もかるく、重さはみんな飛んでいけ。抱いても腕は疲れない、親の心が沈むだけ!」体もふわふわ、頭もふわふわでいつもケラケラ笑っているお姫さまは、だけど水の中でだけは普通に重さを取り戻し生き生きとする。王子様と出会い湖で楽しく過ごしていたが、それを羨んだ魔女は更に湖の水を枯らす呪いをかけた。[昼の少年と夜の少女]魔女の意図がわからなかったが、ハピエン。2019/07/31
Gannet
34
読友さん達が読んでいて面白そうだったので読んでみました。普通の童話と一味違った魅力を感じました!他の作品も是非読んでみたいです。 「かるいお姫さま」 呪いがかかって重さが無くなってしまったお姫さま(身体だけでなく心の重さも無くしているところが深いです) に対して王子さまが報われない犠牲を払う様子が心をうちます。めでたしめでたしの部分もたっぷりあってにやけてしまいました^^ 「昼の少年と夜の少女」 ギリシャ神話の様な趣。囚われの少女が初めて外に出た時の夜の描写の美しいこと!→2022/05/30
Emi
30
どちらも鮮やかで芳しい彩に満ちた世界でした。子供向けなのに時々妙に難しかったり理屈っぽいところが確かにルイス・キャロルに似てるかも。「重さ」のないお姫さまは頭も心もフワフワ。そんなお姫さまを一心に愛する王子様。おとぎ話の王子様らしからぬ献身と愛がお姫様を満たして重さを得たんですね。「昼の少年と夜の少女」もニュクテリスが外の世界を知り考えていく姿が聡明で印象的でした。大人になって初めて読んでも楽しめる美しいお話だと思います。2022/05/21
紅香@新刊購入まで積読消化あと5冊⭐︎
22
誕生の日から魔女の呪いで重さを無くしてしまったお姫様『かるいお姫さま』。魔女の思惑で、夜と昼にくっきりと分けて育てられた2人『昼の少年と夜の少女』2編を収録。。体も心もふわふわ軽く、その涙はすべて湖に置いてきてしまったかのよう。快活で明るい。守られている。だけどそれだけでは、やっぱり物足りないのだ。かなしみを持つことで、打ち破りたい本当の強さが見えてくる。愛は外からやってくる。人を恨んだり、妬んだり、そんなことよりもいつだって美しく惹かれるものは愛。愛することは本当に素晴らしいと思わせてくれる一冊。2018/12/08