内容説明
大阪天神橋筋に育ち、芸事好きな夫に嫁いだ吉本せいは、やがて夫婦で寄席の経営に乗り出す。彼女は天性の「興行師」だった。桂春團治ら伝説の芸人たちとの交流や、ライバル会社との激闘など、波乱万丈の生涯に迫る。
※本作品は電子書籍化にあたり、許諾等の理由から写真、イラストの一部を掲載しておりません。あらかじめご了承ください。
感想・レビュー
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Shoji
28
吉本興行の創始者、吉本せいの半生記です。幼少の頃は奉公に出され大変なご苦労をなさったようです。成人し芸能興行の世界に身を置きますが、ダメ亭主にも泣かされました。戦禍や大衆娯楽の浮き沈みといった困難を、生来の始末の精神、負けん気、挫けない心で乗り越えて行きます。芸人さんの処遇見直しや常設劇場の設置にも取り組みます。流行を読み解く慧眼力がとても優れていたのであろう。今の吉本の隆盛の礎は、吉本せいという気骨ある明治女が築いたことは間違いありません。2023/11/25
スプリント
6
戦後の吉本興業が隆盛を誇ったあたりから駆け足になりますが、よくまとまっており、生涯について理解できました。興行は人材が命なので引き抜きや囲い込みはかなりエゲツないことが行われていたようですが、そのあたりの表現はソフトに書かれています。2018/02/05
トト
2
吉本興業社長、吉本せいの伝記。朝の連ドラのモデルでもあるので、併せて見るとエピソードの元ネタが分かります。 時代背景や、大阪の街並の移りゆく景色も随所に書かれており、ナニワという感じです。2018/03/27
いとのり
0
朝ドラ「わろてんか」を思い出しながら読みました。朝ドラのストーリーは概ね同じでしたが、てんちゃんを好きだったふうたは、実は弟だったとか、子供はもっといっぱいいたけど、早くになくしてしまったとか、設定は違いました。しかし日中戦争が始まったときは、「戦争=景気がよくなる」で、国民が歓迎した、と聞くと戦争の悲惨さを語り継がないといけないと感じます。。。2019/05/10