岩波文庫<br> 萩原朔太郎詩集

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岩波文庫
萩原朔太郎詩集

  • 著者名:三好達治
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 岩波書店(2017/08発売)
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  • ISBN:9784003106211

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内容説明

「詩はただ病める魂の所有者と孤独者との寂しい慰めである」として,ひたすら感情の世界を彷徨しつづけた萩原朔太郎は,言葉そのもののいのちを把握した詩人として,日本の近代詩史上,無二の詩人であった.代表作「月に吠える」「青猫」等より創作年次順に編まれた本詩集は,その軌跡と特質をあますところなくつたえる.

目次

目  次

 愛憐詩篇(「純情小曲集」より)
   犀星序
   自 序
   出版に際して
   夜汽車
   こころ
   女 よ
   桜
   旅 上
   金 魚
   静 物
   涙
   蟻地獄
   利根川のほとり
   浜 辺
   緑 蔭
   再 会
   地 上
   花 鳥
   初夏の印象
   洋銀の皿
   月光と海月

 「月に吠える」抄
   白秋序
   自 序

 竹とその哀傷
   地面の底の病気の顔
   草の茎
   竹
   竹
   すえたる菊
   亀
   笛
   冬
   天上縊死
   卵

 雲雀料理
   感傷の手
   山 居
   殺人事件
   雲雀料理
   掌上の種
   天 景
   焦 心

 悲しい月夜
   かなしい遠景
   悲しい月夜
   死
   危険な散歩
   酒精中毒者の死
   干からびた犯罪

 くさつた蛤
   内部に居る人が畸形な病人に見える理由
   春 夜
   ばくてりやの世界
   ありあけ
   猫
   貝
   麦畑の一隅にて
   陽 春
   くさつた蛤
   春の実体
   贈物にそへて

 さびしい情慾
   愛 憐
   恋を恋する人
   五月の貴公子
   さびしい人格

 見しらぬ犬
   見しらぬ犬
   青樹の梢をあふぎて
   蛙 よ
   山に登る
   孤 独
   白い共同椅子
   田舎を恐る

 ○
   雲雀の巣

 「松葉に光る」抄(「月に吠える」拾遺)
   松葉に光る
   天路巡歴
   巣
   懺 悔
   極 光

  「青 猫」抄
   序

 幻の寝台
   薄暮の部屋
   寝台を求む
   強い腕に抱かる
   群集の中を求めて歩く
   その手は菓子である
   青 猫
   月 夜
   春の感情
   蠅の唱歌
   恐ろしく憂鬱なる

 憂鬱なる桜
   憂鬱なる花見
   夢に見る空家の庭の秘密
   黒い風琴
   憂鬱の川辺
   仏の見たる幻想の世界
   鶏

 さびしい青猫
   恐ろしい山
   題のない歌
   艶めかしい墓場
   鴉毛の婦人
   緑色の笛
   寄生蟹のうた
   かなしい囚人
   憂鬱な風景
   野 鼠
   輪廻と転生
   さびしい来歴

 閑雅な食慾
   怠惰の暦
   閑雅な食慾
   馬車の中で
   青 空
   笛の音のする里へ行かうよ

 意志と無明
   蒼ざめた馬
   思想は一つの意匠であるか
   悪い季節
   遺 伝
   白い牡鶏

 艶めける霊魂
   花やかなる情緒
   夢
   春 宵

 ○
   軍 隊

 「蝶を夢む」抄(「青猫」拾遺一)
   蝶を夢む
   腕のある寝台
   青空に飛び行く
   冬の海の光を感ず
   内部への月影
   陸 橋
   灰色の道
   その襟足は魚である
   春の芽生
   黒い蝙蝠
   石竹と青猫
   海 鳥
   眺 望
   蟾 蜍
   家 畜
   野 景
   絶望の逃走
   僕等の親分
   涅 槃
   かつて信仰は地上にあつた
   商 業
   まづしき展望
   農 夫
   波止場の烟

 「桃李の道」抄(「青猫」拾遺二)
   桃李の道
   風船乗りの夢
   古風な博覧会
   まどろすの歌
   荒寥地方
   仏 陀
   ある風景の内殻から
   輪廻と樹木
   暦の亡魂
   沿海地方
   大砲を撃つ
   海 豹
   猫の死骸
   沼沢地方
   鴉
   駱 駝
   大井町
   吉 原
   大工の弟子

 ○
   郵便局の窓口で
   時 計

 郷土望景詩(「純情小曲集」より)
   中学の校庭
   波宜亭
   二子山附近
   才川町
   小出新道
   新前橋駅
   大渡橋
   広瀬川
   利根の松原
   公園の椅子
   監獄裏の林

  「氷 島」抄
   自 序
   漂泊者の歌
   乃木坂倶楽部
   帰 郷
   珈琲店 酔月
   晩 秋
   品川沖観艦式
   告 別

  「散文詩」抄
   auld lang syne!
   情緒よ! 君は帰らざるか
   死なない蛸
   神々の生活
   郵便局
   主よ。休息をあたへ給へ!
   虚無の歌

 あとがき……(三 好 達 治)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

130
立原、中原中也つながりで萩原朔太郎の岩波文庫を再読です。やはり中原を読んだあとでは比較的平穏な心で読むことができます。「月に吠える」「青猫」からの作品は比較的なじんだ詩が多く情景が眼に浮かぶような気がします。立原道造はあまり読んだことがないのでまだそんなに評価はできないのですが、この作家の詩はいいですね(私にとって中也よりもはるかに)。2017/12/13

青蓮

110
萩原朔太郎の詩を読むのは初めてです。全体を通して澄明な寂寥感、柔らかい春霞の陰鬱、美しく傷んで病んだ雰囲気と仄かに香る艶めかしさを感じました。著者自身「詩はただ病める魂の所有者と孤独者との寂しい慰めである」と言っているように詩とは元来、とても寂しい芸術なのだと思います。そしてその寂しさを、病める事を敏感に感じ取れる者だけがこの孤独な芸術に親しみを覚え、また楽しめるのだと思います。綴られた言葉の余韻に溺れ、無言を描く空白の行間を彷徨って。私はずっと孤独でいたい。美しくて寂しい色彩に彩られた詩を楽しむために。2018/06/28

ヴェネツィア

110
西脇順三郎が、たった1冊だけを持ってイギリスに留学したのが『月に吠える』。そして、同時にそれは日本語での詩の可能性を西脇に悟らせた詩集でもあった。何度目かの再読(これが1番多い)だが、私にとっての日本近代詩ベスト1はやはりこれだ。タイトルは、人間を含めて生きているもののすべてが背負わなければならない、根源的な「生」への不安と怖れとを象徴しているだろう。ここにあるのは、寂しさや愛の渇仰や恐怖や残酷さ、あるいは本質的な孤独といった、およそ負の感情である。「人は一人一人では、いつも永久に、恐ろしい孤独である」。2013/02/09

109
思春期の頃、『月に吠える』の中の「恋を恋する人」を読んで衝撃を受け、それ以来彼の作品を追いかけた。でも、知れば知るほど胸がチクチク痛んで切なく、憂鬱になった。乙女への愛や憧れとか不安定な心情、孤独感の根底にある自己愛を感じ取って、あぁ本当は僕の解釈とは別なところから派生していたのかと少しガッカリしながら、「恋を恋する人」を何度も読み返した。でも『蝶を夢む』の詩たちを読んでから心が軽くなった。1つ1つが絵画に思え、ようやく客観的に鑑賞できるようになっていた。今では古いアルバムの初恋の人を見るような感覚だ。2013/05/08

さっとる◎

46
詩を書いた人、ということではなく存在自体が詩人、詩人としてしか在れなかった詩人、そういう人の書く詩が好きだ。(その基準は私の印象でしかないのだけど(^^;)。萩原朔太郎はまさにそんな一人。病んだ湿っぽい感じ。詩人にかかると犬、猫、竹、月、…何気ない単語どれもが美しい。思いの外散文詩が良かったな。2016/08/21

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