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内容説明
タイガース「苦難の時代」を文献資料に基づいて再現する。しかし「記録集」にはしない。あくまで「物語」として主人公を置き、彼らを中心にして記述しよう。その主人公とは村山実、江夏豊、田淵幸一の三人だ――。
序章 「二人のエース」と二度の優勝 1959-1964
第一部 「伊予タヌキ」の知略 1965-1968
第一章 平和台の雨に泣く――1965年
第二章 奪三振記録での村山と長嶋――1966年
第三章 村山の苦闘、江夏の快投――1967年
第四章 江夏の江夏による江夏のための年――1968年
第二部 燃えつきた「炎のエース」 1969-1973
第五章 「クマさん」後藤の悲喜劇――1969年
第六章 苦悩の兼任監督――1970年
第七章 伝説の九連続三振――1971年
第八章 二人の監督――1972年
第三部 追放された「黄金バッテリー」 1973-1978
第九章 あと一勝に泣く――1973年
第一〇章 冷戦――1974年
第一一章 黄金バッテリーの終わり――1975年
第一二章 孤立する田淵――1976年
第一三章 崩壊する吉田体制――1977年
第一四章 どん底――1978年
終章 優勝までの七年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中
17
年代別に阪神のエピソードがつまっている。おおよそは、周知な事件と有名な出来事が網羅されているだけだ。でも、すごく真剣に読んでしまう。たぶん、気に入った楽曲を何度も聴くのと同じように、タイガースの試合話になると心が揺さぶられるのだ。ラジオで阪神戦を部屋に籠って耳を澄ませていた当時の自分を思い出す。どんな気持ちでその試合を聴いていたのか、懐かしさと切ない感情がこみあげる。そんな喚起力がある一冊だ。阪神ファンだけしかわからない世界があった。 2019/04/24
as
11
BGM「六甲おろし」。村山実、江夏豊、田淵幸一を中心とした、彼らが入団して阪神を去るまでの歴史年代記(その前後1959~1985もあり)。当然対立したフロント、首脳陣は、佐川、戸沢、金田正泰、吉田義男など、全員悪く書かれています(笑)。400ページ以上ありますが、事件の時系列が整理出来るのでタイガースファンには一気読み必至のオススメの一冊です。2017/01/26
アメヲトコ
9
阪神タイガースには90年代の暗黒時代よりも長い「空白の時代」がありました。64年に優勝してからのチームの苦闘の実像を「歴史物語」として書いた一冊。さまざまな資料を広く当たり、互いに照合しながら事実関係を検証していく姿勢には好感が持てます。時には同じ人物の証言でありながら互いに矛盾している場合などもあり、オーラルヒストリーの難しさを感じさせられたりも。それにしてもとくに70年のペナントの投手起用などは今の感覚からすると常軌を逸したレベルで、隔世の感があります。2016/12/01
nadaha
7
僕が生まれるずっと前の、投手の運用なんて考えられていなかった時代のプロ野球の話。村山、江夏、田淵を軸に吉田義男や藤田平、権藤、掛布などのレジェンドたちも、歴史上の人物として顔を出す。巨人V9時代のライバル関係であった阪神は、優勝できなかったけども投手力はあった。どこもそうだけど、伝統ある球団特有のお家騒動で人事が二転三転した。なんとなく、今は阪神よりも巨人の方がドタバタしている感じがあるけど。中川右介さんの著作が本当に好きなので、野球の事まで書いてくれるんだ!!とすごく楽しく読めた。2017/07/07
Prince of Scotch
6
タイガースが日本一になった翌年の1965年から球団史上初のリーグ最下位になった1987年までの歴史が本書で語られている。「虎党」である著者が語るタイガース史は、微に入り細にわたり非常に興味深い。特にチームの内紛や主力選手のトレードなど、今回本書を手にとることで疑問がはじめて 氷解したものも少なくなかった。282ページにある球団首脳と江夏豊投手とのやり取りは俄かには信じ難がったが、事実であるようだ。タイガースファンのみでなく、プロ野球をこよなく愛する向きにも一読を強く薦めたい一冊である。2018/03/04