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内容説明
唯識仏教の大本山、奈良興福寺の貫首が、身近な例を用いつつ、心のしくみや働きに迫りながら『唯識三十頌』を易しく解説。日常の己をみつめ、よりよく生きるための最良の入門書。『唯識 こころの哲学』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
42
『唯識三十頌』を解説した一冊。『唯識三十頌』は世親作、漢訳は玄奘。やはりというか当然というか唯識に暗い自分では書き下し文を読んでも、単語一つ取ってもさっぱりであった。故に懇切丁寧な現代語訳はありがたく、解説した部分はさらにありがたい。唯識というとやはり阿頼耶識から末那識、六識への展開が中心というイメージがあるが、本書では境識倶泯の部分から菩薩の階梯、転識得智まで流れに沿って説かれているので、その部分も自分のような初心者にはわかりやすかった。それにしても三十頌、短くとも実によくまとまっているのを再確認。2015/12/25
記憶喪失した男
12
「阿頼耶識」と「末那識」について書かれた「唯識三十偈」の翻訳がある。短いものであるが、この本で訳文を読むことができる。その内容は面白かった。2018/05/07
shimashimaon
6
世親(ヴァスバンドウ)が30の詩句で唯識論を解説したもので、玄奘三蔵による漢訳が本文テキストになっています。本文に続いて書き下し文と現代語訳、解説を読んでいきます。30個ですから読みやすいです。心の動きを、三能変の八識心王とそれらに相応してはたらく五十一心所として分析するもので、要は「すべては心が作り出したもので実体などない」と説きます。そして根本原因が心の最深層にある不可知の阿頼耶識。私たちはそれに踊らされている、正に無縄自縛。51種類の心の動きを見定めることで、煩悩に支配されないようにしたいものです。2022/07/06
randa
4
難解な唯識をこのコンパクトさで学べる、最高です。2018/02/26
かわかみ
1
唯識って、なんて難しいのでしょう。仮に理屈がわかっても禅定の修行を積まないと腑に落ちない話だし、常識とはまったく異なる考え方。強いて言えば現象学と通じるところがあるかも知れませんが、現象学では末那識、阿頼耶識は扱わない。でも、この本のおかげでようやく唯識の考え方の大筋、世界観の一端を垣間見ることができました。2021/03/01