内容説明
いま私たちに必要なのは、
“老孫”の思想だ!
片や「あるがまま」の姿勢を貫き、じっくりと時間をかけよと説く『老子』。片や「智略」を用いてスピード重視で臨めと説く『孫子』。対極とされがちな両書だが、理想の生き方はずばり「水」という点で一致する。この二つの思想を携えれば鬼に金棒。人生に迷いを抱く人に贈る、「心の処方箋」。
[目次]
はじめに──「老孫」思想への招待 湯浅邦弘
第1章 基本理念
第2章 生きるための哲学
第3章 人との関わり方
第4章 人生の歩き方
おわりに──不安な時代を生きる指針として 蜂屋邦夫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
としP
24
【孫子】最上の勝ち方の順番:①スパイの画策や謀略②外交交渉③交戦(8割方は勝てるという状態)【老子】戦い方:「(中略)戦いとは常に愚かな悲しい行為だということを心に留めておけ」。理想は「戦わずして勝つこと」。この老子の考え方は、トルストイ(ロシアの小説家)、マハトマ・ガンジー(インド独立の父、無抵抗主義・非暴力主義の指導者)に受け継がれている。【孫子】戦い方:水のように戦況に応じて柔軟に変化すべき。【老子】暮らし方:身の丈を知り、それ以上を望まずに満足することを覚えることが、幸福の条件。2017/03/10
shoko
18
アジアの叡智を紐解きたくて、手始めに読んでみた。インスピレーションの源としての水の万能性に感服。老子は争いを避けること、孫子は臨機応変であること、孔子は絶えず努力をすることを水から読み取ったらしい。ほか、特に老子が天地の始まりをどう語ったかはとても面白かった。天地は混沌の運動から始まったがそれを言語化しようにないのでとりあえず「道」と名づける。「神」という形象・行為者を作らずに「おのずからなる」と見てその曖昧さをそのまま受け入れているのが興味深い。2022/05/15
樋口佳之
15
上善若水。水善利萬物而不爭、處衆人之所惡、故幾於道。/上善は水の若し。水は善く万物を利して争わず、衆人の悪む所に処る、故に道に幾し。/小國寡民。/国を小さくし民を寡なくす。2018/01/30
スズコ(梵我一如)
13
知人が中国思想家をよく読んでいるのもあり、私自身は教養なのに知らないのは恥ずかしいかなと、入門のため手をとる。自分は戦とか関係ないし、心情的にも老子を掘り下げるべき?とか先入観持ってたんですが、自分の性格を踏まえれば読むべきは孫子かなと考え直した。現代で社会参加して生きる為には孫子のように地に足をつけるような現実感と知恵が必要かなと。読んでいて老子は何が素晴らしいのか段々わからなくなった。知識なさすぎて間違えを書いているかもしれないけれど。。。2018/09/28
GELC
12
水のような柔軟さを理想とする姿勢や、基本は戦いを避けることを最上とするなど、意外なところで両者の共通点を見出し、一冊にまとめたもの。架空対談も収録されていて面白い。 老子の目的達成を目指した行動そのものを否定するのはさすがに抵抗があるが、行き過ぎた成果主義、拝金主義に対するブレーキとして示唆に富んだ内容。実用面でも、権力・武力などは誇示すべきものでは無いこと、小事から(小事のうちに)始めることなど、心がけたいものも多くあった。2022/09/30