内容説明
第二次大戦終戦後、天皇の戦争責任が問われる中、連合国軍最高司令官マッカーサーに天皇不起訴を進言する覚書を提出した副官ボナー・フェラーズ。その際、彼が助言を求め、信頼した人物のひとりが河井道だった。敬虔なクリスチャンである河井は、平和を志す女子教育に情熱を傾ける教育家だった。戦後日本がたどる道を決定づけた二人の、運命的な出会いと絆を描くノンフィクション。
目次
イエスとノーをはっきりおっしゃいまし
ぼくはもっと日本を知りたい
いざ!いざ!少しもためらわず
私の大切な娘たち
願はくはわれ太平洋の橋とならん
惜しみなく愛は与える
いつまで陛下を欺くのか
負けてよかったのですよ
天皇はルーズベルト以上の戦争犯罪人ではない
私が一番に死にます
反乱と流血は避けられまい
天皇無罪の動かぬ証拠が必要だ
東条に全責任を負わせよ
神の権威と国家の権威
あのお顔、なんと清らかなんでしょう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
42
初読。2015年232冊め。第二次世界大戦終戦後、昭和天皇の戦争責任が問われる中、天皇訴追の回避に動いたマッカーサーの副官ボナー・フェラーズと、教育者の河合道。戦後の日本の運命の分かれ道のひとつ。道の生涯が丁寧に描かれている。2015/03/08
シン
25
昨年公開された映画「終戦のエンペラー」の原作だということで読んでみました。この原作の映画は見たことがありません。根底は同じものだと思いますが、本と映画で登場人物や内容が違うみたいですね。興味ある内容でしたのであっという間に読了しました。機会があれば映画も見たいと思います。2014/10/10
Baro
24
戦争当時の日本人にとって,天皇陛下がどのような存在だったのか,改めて考えさせられた。天皇の戦争責任を回避させるために奔走した人達が,日本人だけではなく,占領軍側にもいたってことも,よく知らなかったなぁ。河井道の人となり,恵泉女学院でのエピソードの部分は,とても楽しく読めました。2013/10/14
Tadashi Tanohata
23
あの「東京裁判」の場に昭和天皇が立つことになる日本の危機を、マッカーサーの側近「フェラーズ」と、教育者でクリスチャンの「河井道」が救う、こんな危機があったのか。膨大な資料と取材で、克明に「運命の出会い」を表現している。ただ作者は無条件に彼等を支持している訳ではなさそうだ。今の「生前退位」論争に一言申したい諸氏は読むべし。「東条に全責任を負わせよ」とある。複雑だ。私も全面的な支持者ではないかも知れない。2017/03/29
ゐわむらなつき
21
夏休みの旅行中、機内で見た映画がきっかけで購入。映画の原作だからと読み始めたが、どちらかというと河井道さんについての記述がメインだった。戦時中、つまり女性がまだ個としての社会的地位を確立していなかったさなかに、これほどまで凛とした女性がいたことに驚きである。また日本を掬おうとしたフェラーズ氏にも感服する。GHQの統治は戦後大きな弊害をもたらしたが、そもそも国体護持すら危ぶまれる状況であったとは…。戦争責任については様々な議論がなされているが、私としては昭和天皇の深い御心に敬服を覚えたとだけ述べておく。2014/02/28