内容説明
後白河院政の否定、政敵への仮借なき攻撃、強引な福原遷都計画。悪逆非道の汚名を着せられた清盛が真に追いもとめたものとは? 先進的政治家としての鮮烈な実像を描き、従来の悪人像を覆した画期的清盛論!
目次
序章 清盛像の変貌
第1章 王権下の清盛
第2章 後白河院との対峙
第3章 王権への挑戦
第4章 新王朝の樹立
第5章 遷都と還都
第6章 最後の闘い 猛き者清盛
終章 平氏の滅亡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
43
【中世16】「鎌倉殿の13人」のおかげて始まった【中世】シリーズ。こんなに続けるつもりはなかったのだが、源氏の視点で読んでいるとどうしても平氏が気になってくる。清盛は「奢る平家」と悪いイメージしかないがどうなのだろうか。「源頼朝」や「河内源氏」の圧倒的なディティールで驚かせてくれた元木泰雄の本書に手を延ばした。■相変わらずのディティールの積み重ねだ、と最初思ったのだが、本書は元木にしてはなぜか熱がこもっている。福原(神戸)への思い入れがあると同時に、清盛に対する思い入れがありそうだ。特に後白河↓2022/03/27
umeko
16
ドラマなどで清盛の生涯は知っていたが、何を目指し、なぜそうしたのかが非常によく理解できた。面白かった。2019/04/12
流之助
12
平清盛とは何と戦おうとしていたのか、貴族と武家が分離してゆく中世は清盛が長生きしていたら変わっていたのかも?など、色々深堀りした考えをさせてくれ、とても勉強になる本だった。書かれたのが阪神・淡路大震災の後ということで(文庫化が東日本大震災の後)、神戸への熱い気持ちも見られて人の温もりのようなものも感じられる。平家物語を読んだ後にこれを読んだので、人物関係(主にその系統)についての理解が深まった。平氏が敗れたのは複合権門としての圧倒的な支配のため被支配層が強い不満をもった、つまり強すぎたから負けた…。2024/01/23
shou
5
平氏の台頭した院政期の在り方と、清盛が目指した事業を解説する。特に遷都の意義などが興味深い。時流に乗って躍り出たスケールのある才能、でも後継者は育てられず、既存体制の破壊者に終わる。新しい国家事業は一人では出来ないのだとも思う。2015/03/06
SADIE
3
後白河院や他の貴族との対立関係、新皇統としての安徳天皇と福原遷都など、非常に面白かった。神戸に住んでいる時に読んで大河もちゃんと見とけばよかったと後悔。2023/10/21