角川文庫<br> 左近の桜

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角川文庫
左近の桜

  • 著者名:長野まゆみ
  • 価格 ¥594(本体¥540)
  • KADOKAWA(2014/12発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784043944576

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内容説明

武蔵野にたたずむ料理屋「左近」。じつは、男同士が忍び逢う宿屋である。宿の長男で十六歳の桜蔵にはその気もないが、あやかしの者たちが現れては、交わりを求めてくる。そのたびに逃れようとする桜蔵だが。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aquamarine

90
隠れ宿「左近」の女将の息子、桜蔵。彼が案内した男は夢か現か妖か、桜蔵のみずみずしさに惹かれていると読み手もその境に気づかない。最初の章で現れる風呂の天窓から降り注ぎ、零れ散る大量の桜の花びらに息をのむ。章ごとに季節は廻り、そのたびに作者の文章に酔い、夢も現も、生死も、男女すらも全てに境がないのではないかと思わされる。彼に惹かれてやってきた男たちは、みんな満足して旅立っていけたのだろうか。傾けた蛤の盃からはらはらとこぼれた桜の花びらは、まいあがり、私の上にも降り積もる。2020/04/26

コットン

81
いちこさんからのおすすめ本。15歳以下の少年を対象に独特の世界観を作っていた著者ですが16歳の青年を主人公にしたことで幻想的な妖しさが出ている(どちらも好きですが…)。『背中に蝶が群れて翔んでいる』話が特に印象的!最近感じるのは少しここらで「箸休め」的な感覚で長野さんを読んでいる自分がいるらしい。それだけ相性がいいんでしょう!2013/06/11

藤月はな(灯れ松明の火)

63
再読です。十二か月の話なので「一か月に一話」と決めて読んできました。人または人でないモノである「男」に極上の「女」として見初められ、養われ、彼岸と此岸を行き来する桜蔵(「少年あるいは青年」)はうっかりもほどがあるが桜の花びら、蝶、髪の毛、西瓜、鍵、手帳、器、蜃などありふれたものに隠された意味がよりストイックで艶めかしくさせています。今時、珍しい粋も垣間見えて興味深いです。「秘すれば花なり」という言葉がこの作品には合うと思います。2012/03/01

瑞佳

56
『百鬼夜行抄』に『エマニエル夫人』を投入して桜葉でゆるっとコーティングした感じ。耽美で夢幻的。しっとりと艶っぽくて、官能風なんだけどサラサラ読める。淑やかで風情があって言葉のひとつひとつが無駄のない美しさで、その独特の世界観が心地よい。青年と少年とのあわいに漂う、まさに匂い立つような危うさが人ならぬものを呼び寄せるのだろうか。しかし桜蔵くんも受難続きやね。あれじゃ身がもたんやろに。身内すら妖みたいなもんやし。柾さんの入れるココアの描写がすばらしくて、わたしもご相伴にあずかりたい!と本気で思ってしまった。2016/11/30

しゅてふぁん

53
読み始めて先ず感じたことは長野氏の‘ことば’に対する強いこだわり。通常であれば漢字で書かれることばが平仮名だったり、会話文が読点で終わっていたり。「、」で終わる会話文を多用する文章を読むのは初めて。この作品の雰囲気に合わせてなのか長野氏の作品は全てそうなのか、気になるところ。どの章も桜蔵の日常から始まり確かに現実世界を歩いていたにも関わらず、いつの間にやら夢と現のあわいへと誘われ、幻想的な雰囲気が漂い始める。読んでいてとても心地良く、あっという間にその世界観に惹き込まれた。それはそれは、美しい世界だった。2018/10/28

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